インドネシア スタートアップ

起業大国インドネシアに学ぶ、失敗しない起業の仕方

「大きくなったら、何になりたい?」

子供の頃によく、聞かれる質問だが、読者の皆さんはどう答えていただろうか?筆者は、小学生時代はプロ野球選手、ゲームソフトプランナー、競馬の騎手と答えていた。実際小学校の卒業文集にはジョッキー(騎手)と書いている。中学生時代は夢がわからなくなって迷走し、高校生時代は音楽関係の仕事につきたいと考えていたが、高校二年生秋から経営者と言うようになり、今に至る。筆者の周りでは、経営者や起業家になりたいという人をほとんど見たことがなかったが、日本以外のアジアの国々ではどうやら違うようである。

世界経済フォーラムが毎年実施しているASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の若者の意識調査の2019年度版を見てみると、各国それぞれ起業意識が高く、なんと1位はインドネシアで、若者(15-35歳)の35.5%、つまり約3分の1以上が起業家になりたいと回答したのである。2位はタイの31.9%。3位は25.7%と続く。

インドネシアの若者(15-35歳)の数はだいたい8600万人ぐらいなので、その35.5%となると約3000万人の起業家志望がいるということになる。約3000万人はマレーシア1国の人口に匹敵する。

World Economic Forumより

では、今年の日本はどうなのだろうかというと、ソニー生命が今年行った中高生が思い描く将来についての意識調査2019を見てみると、男子高校生では1位「ITエンジニア・プログラマー」(20.8%)、2位「社長などの会社経営者・起業家」(16.8%)、3位「YouTuberなどの動画投稿者」(12.8%)で、前回2017年には圏外だった経営者・起業家が今年2位にランクインしているのである。それでもインドネシアの方が倍以上起業意識があるのだが、一応日本では伸びている傾向にあるようだ。

ソニー生命 中高生が思い描く将来についての意識調査2019

インドネシアに話を戻すと、確かに筆者の経験上でも、インドネシア人の採用面接の際、ほとんどの求職者は将来自分の会社や店を持ってオーナーになりたいと回答していた。筆者の前職はデジタルマーケティング業界だったので、やはりデジタルマーケティングのスキルを使って起業を考えている人が多く、実際デジタルエージェンシーは雨後のタケノコのように増えていた。4-5年前、筆者が確認できた数はジャカルタだけでも100程あったと記憶している。デジタルエージェンシーの起業が多かったのは、以下4つの理由が考えられる。

  1. 小資本で始められる
  2. 在庫を持たない
  3. 需要がある
  4. トラクションがある前提で始めやすい

1と2は有名なホリエモンも提唱する儲かるビジネスの原則である。デジタルエージェンシーの業務は、基本的にパソコンとインターネット環境さえあれば良いので、自宅でも出来てしまう。そして、何かを仕入れて売るわけでは無いので、在庫を抱えることもない。3つ目は、インドネシアのデジタルマーケティング業界、ネット広告市場が急成長していると言うことだ。さらに、新しい市場なので、競合もまだまだ少ないという利点もある。

4つ目の「トラクション」は日本語だと牽引力と訳されるが、要は顧客を引っ張れているか?ということである。最初に就職した広告代理店やデジタルエージェンシーで、スキルを学ぶとともにある程度顧客と関係を築き上げ、「君が起業するなら発注するよ」という関係をいくつか作ったところで起業をすると、起業後すぐに波に乗せやすい。基本的にインドネシアのデジタルマーケティングは、facebook(フェイスブック)やinstagram(インスタグラム)を使ったソーシャルメディアマーケティングか、Google(グーグル)検索を使ったSEM(サーチ・エンジン・マーケティング)か、フェイスブックやグーグルがネットワークしている広告枠を使った広告運用の3つが主であり、目的がブランディング(認知度拡大)であればスキル習得はそれほど難しくなく、特にソーシャルメディアマーケティングは日々の生活で触れている若者の方が有利だったりする。目的がブランディングでは無く、購入や登録など具体的なパフォーマンスがあると、少々経験と知識が必要だが、幸いインドネシアの広告市場の8割以上はブランディングである。そういう背景から、スキルとトラクションを作るまでの期間がそれほどかからないことが、IT起業が多い要因の1つであると筆者は考える。

インドネシアのデジタルマーケティング(ネット広告)市場に関しては、別の記事で書いているので、良かったら参考にして頂きたい。

ITの他にどんな起業が多いかと言うと、小売や飲食は非常に多いと思われる。そして、専門的なスキルを取得できれば、小資本で、在庫も持たず、おまけに利益率も高いコンサルティングも、小売や飲食程は多くないが、起業の定番である。例えば、会社設立、会計、税務、労務、法務など、専門知識が必要なジャンルのコンサルティングは非常に多い。

起業が多い業種

  1. 小売
  2. 飲食
  3. IT
  4. コンサルティング

1と2を活性化させたのは、インターネットのおかげである。先ほどのIT起業もそうであるが、やはりインターネットを使って自宅で起業できるようになったことは大きい。まず、小売の立役者はSNSとTokopeda(トコペディア)、Bukalapak(ブカラパック)などのECプラットフォームである。例えば、フェイスブックやインスタグラムを使って自分が作ったチョコレートケーキを売ったり、中国から革製品を安く仕入れて自分のロゴの押してトコペディアでカバン屋さんを開くことも簡単にできてしまう。

飲食起業の立役者は、筆者のブログでは毎度お馴染みのGojek(ゴジェック)とGrab(グラブ)である。彼らのプラットフォームを使って、自宅でインドネシア料理レストランを始めたり、コーヒーショップを始めたりと、家庭内小規模ビジネスが一気に増えている。自宅で自分のできる範囲で商品づくりができれば起業資金は100万円もかからない。また、家族の協力が得られれば、奥さん、親戚、メイドさんなど総出で事業を行うことができて、一家の大黒柱の旦那さんは、会社員で給料をもらいながら副業ということも可能だ。

以上のインドネシアの起業事例を見てきて、「失敗しない起業方法」は何だろうか。

起業資金も重要であるし、起業仲間も重要であるし、スキルや経験ももちろん必要ではあるが、失敗しない方法の1番をあげるとすると、筆者はズバリ、「トラクション」だと考えている。

先ほどの起業事例で説明すると、IT起業ではクライアントと関係値ができてから起業を行い、小売や飲食は、小さく副業や家庭内ビジネスで始めてトラクションが生まれてから起業すれば良い。ある程度トラクションが見込める状態で起業すれば、収入があるのですぐ潰れることは無い。そこから成功を目指すとなると、次は「創業メンバー」と考えている。トラクションがあって、創業メンバーが素晴らしかったら、資金もアドバイスも集まりやすいと思われる。

最後に一応断っておくが、筆者は全ての人に起業を促進しているわけではない。難しいことへの挑戦(このブログでは海外挑戦)は促進していきたいが、それが起業である必要はないと考えている。人それぞれ向き不向きがあり、得意分野も違う。

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