インドネシアのスマホアプリ市場 2016

本日はかねてより要望の多かったインドネシアのスマホアプリ市場について書かせて頂きたいと思います。2011年の設立以来、アドウェイズインドネシアは様々な事業に挑戦してきましたが、2015年5月からこのスマホアプリ市場に集中して取り組んで来ています。

 

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まずインドネシアの基本情報からですが、わかりやすいようにおよその数で暗記しています。意外とスマホ普及台数が知られていなくて、近い数字でも即答できる人にインドネシアで会ったことがありません(笑)。基本的にインドネシア人は数字が苦手というのが私の感想です。面接などでデジタルマーケティングについて意見を求めると、みんな口をそろえてソーシャルメディアが良いと言うのですが、具体的に数字で語れる人に会ったことがありません。すいません、いきなり話それました…。

 

 

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続いてモバイルキャリアですが、インドネシアではTelkomsel(テルコムセル)、XL(エクセル)、Indosat(インドサット)の3社で、市場の8割以上を占めています。2014年9月にまとめた資料ではありますが、2016年現在でも大きくは変わっていないと思います。スマホアプリ市場に関連したところですと、昨年2015年からついに大手3社とも、GooglePlayのキャリア課金に対応しました。インドネシアのクレジットカード保有者が10%にも満たなかったり、日本のようにGooglePlay専用のプリペードカードが売られていない市場を考えると、大きな前進と言えるでしょう。

 

Othersに関しては、香港系の3(トゥリー)とローカルのSmartfren(スマートフレン)が有名です。

 

 

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モバイルOSに関しては、インドネシアはAndroidの市場です。iOSは非常に少ないです。今までジャカルタにアップルストアができるんじゃないかという噂が何度か流れましたが、まだできておりませんし、できる気配もありません。しかし、個人的な感覚で言いますと、ジャカルタのスタバで、マック製品を使って(ドヤ顔をしている)いる人は、多いように見えます。インドネシアは、ジャカルタとその他の都市で一人あたりのGDPが倍以上離れているので、ジャカルタだけで測定すると、iOS比率はもっと上がるかもしれません。

 

ちなみに、スマホ端末シェアのグラフは用意していないのですが、1位はSamsung(サムスン)で、2位と3位をローカルのEvercoss(エバーコス)とSmartfren(スマートフレン)が争っているという状況です。それぞれ上位端末メーカーは、1万円でも買えるようなAndroid端末を用意しています。

 

 

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続いてブラウザーですが、中国で最も人気の高いUC Browserが、インドネシアで一気にシェアを伸ばし、過半数のシェアを得るまでになっています。逆に今まで一番であったOpera(オペラ)が、どんどんシェアを落としている状況です。考えられる理由は大きく2つありまして、1つは単純に『高速インターネット』を謳って大きな広告予算を投下していること。もう1つ考えられるのが、その高速インターネットを利用してポルノ動画を再生することがより快適になったことです。やはりエロの力は恐ろしいですね…。

 

 

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次はソーシャルメディアです。インドネシアは世界第4位のfacebook人口を誇っており、ソーシャルメディア大国として有名なのですが、実はあまり知られていないのがブラックベリーメッセンジャー(BBM)のユーザー数です。そして、勘違いされやすいのが、このBBMユーザー数はブラックベリー端末だけではないということです。BBMはAndroidでもiOSでもアプリを展開しています。

 

 

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そしてこれが2016年4月某日のGooglePlay総合無料アプリのランキングなのですが、BBMはAndroidにアプリを公開して以来、ほぼずっと1位の座を守り続けています。先ほどご説明したUC Browserも2位で入っていますし、3~6位までがFacebook、Facebook Messenger、Instagramで、LINEは7位に入っています。

 

 

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次はインドネシアの広告市場ですが、わかりやすいように、広告市場全体が約1.5兆円、ネット広告が1000億円(つまり、ネット広告比率は10%以下)、モバイル広告がそのまた5%の50億円と言うようにしています。ここで申し上げたいのが、インドネシアは隣国や同じような発展途上国と比べてもネット広告比率が低いということです。例えばインド。インドは広告全体の規模はインドネシアに負けているにも関わらず、ネット広告比率は10%以上で、ネット広告市場もインドネシアを上回っています。

 

しかし、やっぱりポテンシャルは高い。一気に爆発すると信じてやっております。

 

 

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続いてモバイルアプリマーケティングのプレイヤーですが、インドネシアは他の産業同様、市場のポテンシャルの高さからある程度のプレイヤーは揃っています。しかし、特徴的なのは、ローカル企業が少ないということ。たくさんの企業ロゴを散りばめましたが、そのほとんどが、インドネシアに支社を持たない企業がほとんどです。特にパフォーマンスマーケティングの分野においては。例えば、CPI(Cost Per Install)広告の分野を見てみましょう。アドウェイズはインドネシアに拠点を置いて、AppDriver(アップドライバー)とSeads(シーズ)というプロダクトを展開していますが、ドイツのFyber(ファイバー)、アメリカのTapjoy(タップジョイ)とSupersonic(スーパーソニック)はインドネシアに拠点を置いていません。

 

先ほどインドのネット広告市場がインドネシアと比べて進んでいると述べましたが、モバイル広告代理店カテゴリーのVserv(ヴィーサーブ)やCPC広告カテゴリーのinmobi(インモビ)はインド出身企業です。

 

 

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これはGooglePlayの売上トップアプリのランキングですが、やはりトップは全て外資系企業で、LINEメッセンジャー以外は全てゲームです。そして、ほとんどがインドネシアに拠点を置いておりません。Seven Knights(セブンナイツ)を展開するネットマーブル社とLINEは拠点を置いています。

 

右側はインドネシア向けにどの広告を使っているのかと言う表なのですが、ほとんどがfacebook広告とAdMobしか使っていないという状況です。これは逆にまだまだチャンスがあるとも捉えることができます。

 

 

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続いて、こちらはショッピングカテゴリにおけるDL数のランキングです。先ほど上位を占めていたゲームと比べると、ほとんどがローカル企業(2016年4月現在、インドネシアでは)で、インドネシア向けの広告投資に積極的です。特にインドネシアで人気のBBM広告はトップのECアプリのほとんどに利用されています。

 

ランキング上位に入ってはいませんが、インドネシアの大手財閥もEC市場への投資に力を入れています。例えば、ジャルムグループが投資するblibli.com(ブリブリドットコム)やリッポーグループが投資するMatahariMall.com(マタハリモールドットコム)などです。先ほどのゲーム市場と比較するとレッドオーシャンに見えますが、モバイルゲーム市場も昨年2015年から中華圏の進出が増えており、今年は一気に競争が激しくなることでしょう。

 

現場からは以上です。

インドネシア、ネット広告市場の変化【2016年版】

今日はネット広告分野にフォーカスして書いて行きたいと思います。

インドネシアのネット広告市場は以前のブログの記事
インドネシアのネット広告カオスマップ2015」で指摘したように、まだまだデジタルの理解が遅れており、健全な競争が行われているマーケットとは言えません。もっと伸びて良いはずが、まだまだ伸び悩んでいるという状況です。

しかし、2015年に入って、ある分野において少しずつ変化が見られるようになりました。それは「アドネットワーク」と「ゲームを中心としたモバイル広告」の分野です。

 

まず、アドネットワーク分野ですが、今まではCPMやCPCのネットワークを中心に広まり、インドネシアではとりあえず規模とユーザーターゲティングが広告主の要望でした。そこに、プログラマティックバイイングという言葉がやって来て、DSPが広告主に受け入れられる(理解とはまだ言えない)ようになって来たのが、2015年なのです。ただ、プログラマティックバイイングやRTBという言葉が一人歩きしている感は凄くあるのですが、今まで広告スペースをネットワークし、CPCやCPMを提供していただけのアドネットワーク企業にとって立場が苦しくなってきたことは確かです。実際2015年は、ローカルアドネットワーク大手のAdplusが韓国モバイルメディア大手Yello Mobile傘下のYellow Digital Marketingに買収され、インド系Komli Media Indonesiaがマレーシアの通信キャリア大手Axiata Groupから買収されています。

 

インドネシアでDSPというと、仏系クリテオと日系のマイクロアドの名前が有名です。クリテオは2013年12月にシンガポールに拠点を作って東南アジアを攻めており、マイクロアドはマイクロアドインドネシアとは別に、マイクロアドブレードインドネシアという会社を2013年秋頃に設立しています。クリテオはLazada、Matahari Mall、Tlavelokaなどの大手ECを広告主として囲い、マイクロアドは2016年に予定していた黒字を1年前倒しで達成するという好調ぶりです。

 

出典:
Korea’s Yello Mobile continues acquisition spree, snaps up Indonesia’s Adplus
Komli Media’s South East Asia operations bought by Axiata for $11.5 million
Criteo pursuing further growth in Southeast Asia via hub in Singapore
インドネシアにおけるMicroAd BLADEの専売会社『MicroAd BLADE Indonesia』設立 インドネシア国内のアドプラットフォーム事業を強化
マイクロアド、海外事業の黒字化達成–渡辺社長が明かす好調な要因

 

 

次にゲームを中心としたモバイル広告ですが、2015年に入って、中韓のゲームアプリディベロッパーがインドネシアで広告を拡大するようになってきました。以前はfacebook広告が中心でしたが、最近ではBlackBerry広告やLINE広告などインドネシアならでは広告メニューに手を広げるようになっています。BlackBerryメッセンジャー(BBM)はインドネシアで5000万ユーザー以上、LINEも3000万以上のユーザー数がいると言われており、インドネシアで強い存在感を示しています。

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モバイル広告市場は外資系をメインに様々な企業が参入していますが、パフォーマンスマーケティング分野では、ゲーム企業を中心に熾烈な争いが繰り広げられています。なぜ競争が起こるのかというと、GooglePlayやAppStoreというグローバルに解放されたプラットフォームがあり、インドネシアのゲームアプリディベロッパーは前述の中韓のディベロッパー含め、世界各国の猛者たちと戦わなければならないからです。インドネシアのデジタルマーケティング市場のほとんどは、競争が無く健全な市場とは言えませんが、このゲームディベロッパーを中心としたモバイル広告市場に関しては、各社競合他社よりも優れたマーケティングを行おうと必死になり、競争が生まれています。

 

少しずつですが、健全な競争が生まれつつあるインドネシア。インターネットの分野だけでなく、他の分野にも波及し、国としてさらなる成長を遂げることを期待しています。