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インドネシアのネット広告市場に見るナンバーワン企業の法則【2017年度版】

みなさん、「ナンバーワン企業の法則―勝者が選んだポジショニング」という本をご存知でしょうか?原題は「The discipine of market leaders」でマイケル・トレーシーさんとフレッド・ウィアセーマさんによって書かれたものを大原進さんが翻訳しています。アマゾンで検索してみたら、もう既に絶版になっており、中古で5000円ぐらいするんですね…。

 

ナンバーワン企業の法則

 

 

私がはじめてこの本に出会ったのは大学3年生の就職活動時期で、その後社会人3年目でもう一度読み直したきりでした。そして長い年月が経って、最近インドネシアのネット広告市場を説明する中で、本書に出てくるナンバーワン企業が選ぶ3つの価値基準が、しっくりくるので、このブログでもご紹介しようと思った次第です。

 

 

ナンバーワン企業の3つの価値基準とは?
1.    Product Innovation(プロダクト・イノベーション)
2.    Operational Excellence(オペレーショナル・エクセレンス)
3.    Customer Intimacy(カスタマー・インティマシー)

 

 

私は就職活動時期に、某IT企業のセミナーでこの3つの価値基準の説明を受けたのですが、凄く分かりやすかったので10年ちょっとたった今でも鮮明に覚えています。

 

プロダクト・イノベーションを発揮しているのは、例えばマイクロソフトやインテルのような新しいプロダクトを出し続けることで市場を圧巻している企業です。当時セミナー講師のK先生は「愚民どもよ、我らのプロダクトを使うが良い」という面白い表現をされていましたが、本当にそうは言っていなくても、それぐらい言えるような企業です。Google(グーグル)もそれに入りそうですね。

 

2つ目のオペレーショナル・エクセレンスを発揮しているのは、例えばマクドナルドです。K先生は、「高校生のアルバイト中心でも店舗がまわる仕組みを作ったことは素晴らしい。例えば銀行が高校生だけでまわるのか?」とおっしゃっていましたが、まさに卓越したオペレーション体制を築いている企業のことです。他には、質の良い家具を低価格で提供するオペレーション体制を確立させたイケアが入るのではないでしょうか。

 

最後に3つ目のカスタマー・インティマシーですが、例としてリッツカールトンホテルの名前をあげられていました。顧客の好みを記録して、顧客に驚きと感動を与え、親密な関係を築き上げる企業のことです。サービス業に多そうですが、ファッションブランドのエルメスも同じ商品を修理して長く使ってもらうという顧客関係を築くので、これに当てはまると思います。

 

 

では、これらをインドネシアのネット広告企業に例えるとどうでしょうか?

 

 

1.    プロダクト・イノベーション
こちらは本当に「愚民どもよ、我らのプロダクトを使うが良い」がぴったりなのですが、facebook(フェイスブック)とグーグルの広告のことです。フェイスブックはパーソナルデータを用いて市場を圧巻し、グーグルも検索連動型広告だけで無く、リマーケティング広告、ネイティブ広告、動画広告など網羅し、両社とも新しい広告機能をアップデートし続けています。東南アジアにおいても、その強さは目を見張るものがあり、APACのネット広告市場の51%は彼ら2社によって支配されているという調査データも出ています。あともう1社あげるとすればCriteo(クリテオ)社です。彼らはダイナミックリターゲティングというプロダクトで、インドネシアの上位EC企業のほとんどを顧客としています。フェイスブック(米)、グーグル(米)、クリテオ(仏)、みんな欧米企業ですね。

 

2.    オペレーショナル・エクセレンス
インドネシアにおいて、このポジショニングに関しては、日系ネット広告代理店が力を発揮しているように思います。前述のフェイスブックとグーグルの広告ですが、この広告を最適に運用するためのオペレーション体制を築く企業がいます。フェイスブック広告はターゲティングの設定技術だけで無く、バナーや動画などどういったクリエイティブを用意するかも重要です。ある日系広告代理店は、フィリピンにクリエイティブ制作部隊を作り、日夜ABテストで効果改善を行っていると聞きます。グーグル広告にしても、日々のキーワード設定もそうですが、目まぐるしく変わる広告機能やケーススタディの情報収集、そしてそれら新しい知識を現場の運用スタッフへの落とし込むオペレーションが非常に重要です。

 

3.    カスタマー・インティマシー
最後のカスタマー・インティマシーですが、インドネシアで儲かっていると言われているネット広告企業、デジタルーエージェンシーのほとんどがこのポジショニングをとっています。例えば、世界大手の広告代理店WPPグループやオムニコムグループ、日本の電通もそうですが、グループ傘下にデジタルエージェンシーやデジタル専門部署を持っており、このポジショニングで大きな売上を上げていると考えられます。外資系だけでなく、ローカル系も同じです。私は採用活動と情報収集のために、100人近くのマネージャーや営業担当とリンクトインを通じて会って来ましたが、みな口を揃えて顧客とのリレーションシップが大事だ、それがインドネシア独特のカルチャーだと言います。

 

 

もう少しインドネシア独特のカスタマー・インティマシーについて、お話しましょう。

 

 

私が会った100人近くのマネージャーや営業担当が言う顧客とのリレーションシップとは?

 

・毎日ワッツアップやBBMで、挨拶やジョークを送る
・たまにドーナツ持参でオフィスに訪問
・誕生日にはお祝いのメッセージとケーキを贈る
・クライアントの担当者が欲しいもの(例えば、靴とかコンサートのチケットとか)をプレゼントする
・○○を渡す

 

私の予測では、ざっくり約1000億円のインドネシアネット広告市場のうち、80%はブランディングを目指した広告活動で、ブランディング目的ですと、どのターゲット層に何のメッセージをどれぐらいのボリュームに届けるかが重要になってくるので、広告効果が測りづらく、差別化が難しくなります。ネット広告だと、指定のターゲティングでボリュームと予算を設定して終わりで、非常に簡単です。そこで、差別化要素として重要となってくるのが、前述の顧客とのリレーションシップです。(○○はここでは言えませんw)

 

個人的には、真の顧客は広告主では無く消費者なので、市場の競争が激しくなると、このモデルは長くは続かないと考えています。ただ、現状インドネシアの経済は成長していますし、とりあえず指定のターゲット層への認知度を上げておけば、ある程度成長は見込めるという状況です。

 

この顧客リレーションシップ活動によって、インドネシアでは100を超えるデジタルエージェンシーが存在しています。量産のロジックとしては、デジタルエージェンシーからの独立です。まずは、デジタルエージェンシーで経験を積んで、顧客リレーションシップを育てることができたクライアントを引き連れて独立するのです。複数社引き連れて独立することができれば、インドネシアは人件費が低いので、彼らにとって十分な利益を確保することが容易です。

 

 

最後に、アドウェイズはと言いますと…スローガンに「なにこれすげーこんなのはじめて」とあるように、なにこれすげーこんなのはじめてなプロダクトを作って、プロダクト・イノベーションに挑戦しています。

 

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