OMO デジタルマーケティング

GO TO デジタル戦略① ニューノーマル時代に追うべき指標

2020年4月、日本政府は新型コロナウイルスによって大ダメージを受ける観光産業を救済すべく、1兆6,794億円もの補正予算を組み、Go To Travel、Go To Eat、Go To Event、Go To 商店街など、地域を再活性化するための需要喚起を目的に、様々なGo To キャンペーンを打ち出した。観光庁が公開している下記資料によると、成果目標は「新型コロナウイルスの影響を受けた地域における需要喚起と地域の活性化を目指す」と書かれている。

明確な指標は記載されていないが、それぞれ発行されたクーポンの利用回数や利用金額、地域イベントの実施回数などが重要な指標、所謂KPI(Key Performance Indicator)となってくるであろう。日本政府が発表する成果としては、7月22日からスタートしたGo To Travel事業に関して、9月15日時点で同事業を利用した宿泊旅行者は約1,689万人とのことである。同事業は規定のパーセーンテージを補助するという特性上、高級飲食店や高級ホテルでは前年比で8割程度戻ってきたとの記事がある一方で、中小企業への需要喚起はまだまだ行き届いていないといった現状が目立つ。これに対して筆者が思うのは、日本政府が追いかけるKPIは本当に需要喚起と地域の活性化に繋がるのか?という疑問である。もし、筆者が飲食店やホテル、小売店を経営していたとしたら、一番心配なのは継続性。つまり、この需要喚起や活性化が一過性ものものとして終わってしまう不安である。さらに非対面、非接触、3密回避なども継続して対策していかなければならない。

そこで提案したいのが、タイトルの「GO TO デジタル」である。日本政府のGo To キャンペーン事業は、顧客側をGo Toさせる施策だが、GO TO デジタルは主語が飲食店やホテル、小売店など事業者側である。

GO TO デジタルの目的地として参考にしたいのがGAFAと呼ばれる米国IT大手4社である。うちGoogle持ち株会社のAlphabetを除く3社が、コロナ禍の2020年4月-6月期の決算で増収増益を達成しているのだ。特にアマゾンに関しては、売上高、純利益共に過去最高を更新し、売上高前年同期比40%増の889億1200万ドル(約9兆3000億円)、純利益はコロナ関連費用として40億ドル投資したにも関わらず、前年比で倍増である。

朝日新聞デジタルより

そんな絶好調のアマゾンであるが、コロナ禍でも時代と逆行した戦略をとっている。2020年8月27日、新たな食品スーパーのリアル店舗「Amazon Fresh(アマゾンフレッシュ)」1号店を米国カリフォルニア州ロサンゼルス近郊にオープンさせたのだ。さらに、2020年1月に出店した食品スーパー「Amazon Go Grocery(アマゾンゴー・グローサリー」の2号店も9月9日にワシントン州レドモンドにオープンさせている。どちらも食品スーパーであるが、Amazon FreshはAmazon Go Groceryよりも大型店舗で、Amazon Go Groceryが大量のAIカメラとセンサーを使って購入した商品を識別することに対して、Amazon Freshは「Amazon Dash Cart(アマゾンダッシュカート)」と呼ばれるスマートショッピングカートを使って、自動的にバーコードと重量を読み取る仕組みをとっている。カートはアマゾンの提供するスマートフォンアプリと連携することで利用ができ、もともと作成していたショッピングリストを見ながら買い物体験をすることが可能だ。

Amazon Dash Cart(Amazon公式サイトより)

もっとアマゾンの新テクノロジーに関して解説したいところだが、本題に戻る。アマゾンはなぜ今リアル店舗の出店を行うのか?理由は顧客データであると考えられる。アマゾンは、本来のAmazon.com(アマゾンのオンラインショップ)で、いつ誰がどんな商品を閲覧し、何を購入しているかのデータを活用しているように、オフラインでも同じように顧客データを活用し、パーソナライズされたサービス提供をしていきたいのである。つまり、オンラインとオフラインの融合、OMO(Online Merges with Offline)の推進である。この顧客データの数というのが、GO TO デジタルの第一指標である。飲食店、ホテル、小売店において、いつどんな人がどこに来て(泊まって)、どんな商品を買ったり食べたりしたのかという顧客データである。ただの顧客プロファイルというより、顧客の行動データと呼んだ方良いかもしれない

アマゾンが取得している顧客データは、広告に存分に活用される。筆者であれば、電気シェーバーやメンズ化粧品の広告をよく見かけるが、それは購入データを元に広告表示されている。所謂リターゲティング広告(リマーケティング)である。飲食店、ホテル、小売店であれば、一度来店した情報、接触した商品棚の情報、購入した商品の情報を元に、来店者を追いかけていく来店者リターゲティング広告だ。その目的は、再来店(Retention/リテンション)とLTV(Lifetime Value/顧客生涯価値)の最大化である。これがGO TO デジタルで追うべき第二の指標である。

ニューノーマル時代、これらの指標の重要度はとてつもなく重要になってくると考えられる。理由は、非対面、非接触、3密回避が当たり前のように求められ、新規顧客をバンバン集客する時代ではなくなっていくからである。マーケティングの在り方も新規顧客を獲得するという指標よりも、1人1人の顧客関係を分厚くするリテンションとLTVが重視される時代になっていくであろう。いや、もうなっていると思っている。そういう意味で、最近流行のDX(Digital transformation/デジタルトランスフォーメーション)という言葉もこのように説明したい。DXとは、「顧客データを取得し、リテンションやLTVなどの重要指標を追いかけられる環境をつくること」と。

次回は、GO TO デジタルが追うべき指標の最大化を事例を紹介しながら解説していく。

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