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インドネシアプロダクト革命 〜巨大フリマイベントに潜入〜

前回の記事で、小さな飲食店や屋台でもGO FOODを使ってたくさんの人に販売し、人気店にもなれるという事例を紹介したが、本記事では飲食以外のカテゴリーにも広げて書いていく。飲食以外でも、小資本で商品化してたくさんの人に販売することが可能な時代なのだ。まさにプロダクト革命が今起きている。

 

 

筆者がプロダクト革命を目の当たりにしたのは2017年11月2日、同年できたばかりのショッピングモールPIK Avenueの1フロアを貸し切って行われた「Brightspot」というインドネシア最大級のフリマイベントである。Pop Up MarketやBazarをそのままカタカナにしても意味が伝わらないと思いフリマとしたが、要は自分で作った食べ物やコスメ、ファッションなどを販売する本気のフリマである。Brightspotは2009年から毎年開かれており、開始当初は23ブランドで3000人を集めていたのが、昨年は180ものブランドが出店し、来場者数は4日間で5万人を超えたようだ。その5万人の客層であるが、見た目は20代の若者が多く、皆オシャレに気を遣っており、セレブのような雰囲気を醸し出すような人もたくさん見かけた。彼ら彼女らが、まだ世間では有名になっていないブランドをたくさん購入して帰るのである。この熱気を見たとき、筆者はまさにプロダクト革命を肌で感じた。

 

 

仕掛け人はインドネシアのトップDJの1人にあげられるAnton Wirjono(アントン・ウィルジョノ)と、その家族や友人、計5人で構成される共同創業者たちである。

 

Brightspotの成り立ちを調べて見ると、アントンの人生経験が色濃く反映されていることがわかった。彼の最初の大きな学びは、1994年、米カリフォルニア州メンロー大学卒業後にチャレンジしたDJイベントである。アントンはイベント会場を借りて、自らDJパフォーマンスを行い、入場料を1人20ドル徴収し3000人を集めることでイベントを成功させた。この時アントンは自分が情熱を向けたものが収益に変わる様を見て、大きな喜びを感じたという。この成功体験に自信をつけ、インドネシアに帰国してからもDJの世界に進んでいく。

 

Brightspotが生まれた背景も、インドネシアのクリエイターの情熱を支援したいという想いがあったに違いない。Brightspot創業者メンバーたちは。2010年に300ものブランドを集めたセレクトショップ「The Goods Dept」をオープンさせるのだが、ブランドの85%はインドネシアの地元ブランドである。

 

アントンは地元ブランドの難しさをいくつか指摘している。

①地元ブランドはチープな印象がある
②有名にならなければ、ショッピングモールで扱ってもらうことはできない
③近年H&Mやユニクロが進出し、競争が激しくなっている 

 

それらの問題の解決方法がThe Goods Deptに詰まっている。まず、The Goods Deptが出店している店舗はショッピングモールの中でも、ハイクラスの部類を選定している。さらに、取り扱うブランドに関しては、質の高い革新的なブランドを選定。高級で高品質なイメージを印象付け、画一的なファストファッションと差別化をはかっていくというわけである。The Goods Deptが高級ショッピングモールに出店できているのは、アントンのDJとしての知名度とネットワークが活きていると本人も語っている。Brightspotに関しても、高級シッピングモールで開催しており、The Goods Deptと方向性は同じだ。

 

このBrightspotとThe Goods Deptが起こすプロダクト革命を通して、有名になった地元ブランドがある。

昨年のBrightspotにも出店していた「Public Culture」だ。

Public Cultureは2015年に立ち上がったインドネシアの地元ブランドであり、The Goods Deptで顧客の支持を得て、現在単独で路面店をオープンさせるまでに至った。さらに驚いたことに、アジアを中心に大人気のメンズファッションメディア「Hypebeast」にインドネシアの新鋭ストリートブランドとして、現在まで2度も記事に取り上げられている。筆者も愛読しているが、まさかインドネシアという単語が現れるとは思ってもみなかった。

 

飲食以外にも、成功事例が出始めたプロダクト革命。今後が非常に楽しみであるし、自らもこの波に乗りたいと強く思う。

 

最後に、Brightspotイベントで撮影した写真をいくつか紹介しておく。

 

 

冠スポンサーはGo jekのライバルであるGrab。

来場者が会場のフロアに上がって最初に目にするのは、駐車場にずらっと並べられた屋台スタイルの飲食店ブースたち。鳥の唐揚げや点心(ディムサム)、スナックやスイーツなど、ストリートフード系がほとんどであった。

駐車場を越えると、ゲートがありチケットを見せて会場に入ることができる。会場前には長い廊下があり、そこではコスメや小物が並んでいたり、その場の調理の必要が無いプリンやパンなども並んでいる。コスメに関しては、メイクアップ系、美容オイル、石鹸などが多い。

廊下から会場に入ると、中はほとんどがファッション系のブースで占められている。衣類はもちろんのこと、アクセサリー、靴、水着、サングラス、財布やカバンなど幅広く、衣類も女性用が多いと思いきや、結構男性用も見かけることができた。

全体的に飲食、コスメ、ファッションのカテゴリーに分けることができて、出展数の比率としては、飲食3:コスメ2:ファッション5であろうか。

大きなインスタグラムの風船。インスタグラムもプロダクト革命を後押しする重要なツールである。インスタグラム広告は個人でも利用できて、且つたくさんの人に商品をアピールすることができる。

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