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インドネシアのパン市場2021 - インドネシアブログ

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インドネシアのパン市場2021

ブログを長らく放置している間に、コロナも落ち着きを見せ始め、この記事を書いている2021年11月時点で日本国内の日ごとの感染者は300人を切るまでに下がって来ている。世界各国でもようやく経済が動き始め、飲食店や小売店などコロナ禍でダメージを受けた業界もどんどん再開するニュースが入ってくる状況だ。筆者はというと、昨年2020年から飲食店や小売店のDXに関わる仕事をしていたが、今年の中頃からはパン屋さんに特化したDXを推進しており、その中でやはり世界経済が動き始めたこともあり、海外事業の質問を受ける機会が増えてきた。

そこで本日は久しぶりにブログのテーマであるインドネシアを絡めて、パン×インドネシアで調べたことをまとめて行きたいと思う。

まず、インドネシアの話に入る前に、世界で最もパンの消費が多い国はどこかご存知だろうか?国民1人あたりのパンの年間消費量を比較すると、やはり欧米、特にフランスが多そうなイメージだが、実はフランスは3位である。その上の2位は南米のチリ。1位はなんと東ヨーロッパと西アジアまたがる国、トルコである。1人あたりの年間消費量はなんと168kg。つまり、1ヶ月で14kg。1日467gなので、毎日3食がっつりパンを食べなければ達成できない数値である(笑)。2位以下も下記に記載する。少し古いが、2014年3月にトースト研究所が調査したランキングである。ちなみに日本は16.8kgで10位だ。

1位:トルコ(168kg)
2位:チリ(86kg)
3位:フランス(58kg)
4位:ロシア(57kg)
5位:イタリア(55kg)
6位:オーストラリア(53.4kg)
7位:フィンランド(51kg)
8位:イギリス(27kg)
9位:アメリカ(24kg)
10位:日本(16.8kg)

トルコの信憑性は置いておいて(笑)、インドネシアはまだこのランキングに入っていない。2018年の調査によると、インドネシアの国民1人当たりのパンの消費量は4.7kgである。実際、筆者がインドネシアで生活していた時も、周りでパンを主食にしている人をほとんど見かけたことがなかった。米や麺を主食としている人が多い印象である。では、全くパンが売られていなかったのかというと、そうでは無い。コンビニには必ずパンは置いてあったし、街で見かけるベーカリーも大人気であったと記憶している。

別の切り口からも見てみたい。パンと言えば、主原料は小麦である。インドネシアでは小麦の大部分を輸入に頼っており、約半分は麺類向け、約20%がパンに使われているとのことだが、現在小麦の輸入量は一気に増えている状況だ。

2019年8月2日の日経新聞より

日経新聞の記事によると、2019~20年度のインドネシアの小麦輸入量は前年度比3%増の1150万トンと、09~10年度の2倍に達する見通しとのことである。さらに、エジプトの1250万トンに次ぐ世界第2位である。急増の理由として、日本企業が火をつけたパンやラーメンの人気とあるが、確かに2010年台は山崎製パンが進出したり、数多くの日系ラーメン店がオープンするのを筆者も現地で目の当たりにした。

では次に、製パン企業を取り巻く小麦周辺市場を見てみよう。小麦の約半分は麺類に使われるので、世界最大級の即席麺事業を展開するIndofood(インドフード)、世界最大級の製粉会社Bogasari(ボガサリ)を傘下に持つインドネシアの大財閥Salim Group(サリムグループ)が大きな力を持っている。

製パン市場の圧倒的1位は、1995年に敷島製パンと日商岩井(現双日)と、サリムグループと合弁で設立されたPT Nippon Indosari Corpindo Tbk(ニッポン・インドサリ・コーピンド)である。同社のアニュアルレポートによると、2020年の売上はコロナの影響もあってか、前年比3.8%減の3兆2120億ルピア(約250億円)である。それを追いかけるのがヤマザキインドネシアだ。同社は2013年にインドネシア2大コンビニの一角Alfamart(アルファマート)を展開するAlfa Group(アルファグループ)と三菱商事が出資する企業との合弁で設立されている。ヤマザキインドネシアの売上は公開されていないが、日経新聞によると、2016年に年間売上37億円を目指すとあったので、2020年は50億円近辺まで行っているのではないかと予想する。1位と2位で製パン市場の8-9割を占めていると言われているので、インドネシアのホールセール製パン市場規模はざっくり300-400億円という計算になる。

それではその300-400億円のホールセール製パン市場がパン市場全体のどのぐらいを占めるのだろうか?

ここからは決定的な有力資料が見当たらなかったため、更なる推測の域となる。筆者独自の算出及び推測ということでご了承頂きたい。オンライン上にある様々なデータと現地の方へのヒアリングを組み合わせているので、大きくは外れていないと信じている(笑)。

インドネシアのパン市場はざっくりと、1500-2000億円というのが筆者の予想である。矢野経済研究所によると、日本の2020年度のパン市場は前年度比96.7%の1兆5,262億円の見込とあるので、日本の8分の1ぐらいので市場規模となる。その1500-2000億円市場が、先程の工場生産のホールセール製パンと、さらにベーカリーチェーン、店舗内小規模生産の3カテゴリーで構成されている。日本でドンクやアンデルセンのようにベーカリーチェーンがあるように、インドネシアにも存在する。

インドネシア最大規模のベーカリーチェーンは、1978年にオープンした老舗のベーカリー「Holland Bakey(ホラント・ベーカリー)」である。Hollandはオランダを表す言葉だが、ベーカリー自体はオランダと何か関係があるわけでは無い。インドネシアの伝統的なケーキや日本のチーズケーキのようなものも売られている。まだまだインドネシアにパン文化が無い時から地道に店舗数を積み重ね、公式WEBサイトによると、2021年11月現在、インドネシア最大規模の411店舗まで展開するに至っている。

続いて第2位を争っているのが、2005年設立の「BreadLife(ブレッドライフ)」とシンガポールが本店の「BreadTalk(ブレッドトーク)」だ。前者のブレッドライフは、創業してしばらくはロゴに「モダンのパン」という日本語が入っており、日本人が関わっている様子も無いのに怪しい会社だと思っていたのだが、どうやら写真現像店舗事業で財を成して上場まで果たしたモダングループ(PT Modern Internasional Tbk)の多角化の一環で、ベーカリー事業もやっていたとのことである。モダングループのパンのなので、「モダンのパン」である。ちなみにモダングループの事業多角化は、セブンイレブンのインドネシアライセンスを取得して160店舗以上展開するまで至り、そこから2017年に全店舗一斉撤退し、大きな話題となった。ベーカリー事業は結構早い段階で売却を行い、2012年9月にシンガポール拠点の投資会社「Northstar(ノーススター)」が買収して一気に店舗を拡大し、現在約200店舗の規模とのことである。

後者のブレッドトークは、インドネシア創業のベーカリーでは無い。運営会社は2000年にシンガポールで創業したBreadTalk Group。創業後わずか3年でシンガポール証券取引所に上場し、現在世界15カ国900店舗以上を展開するグローバルベーカリー企業である。インドネシアでは2003年から同国最大規模の美容室を展開するJohnny Andrean(ジョニー・アンドレアン)がフランチャイズを始め、公式WEBサイトによると、現在の店舗数は190とのことである。

2013年1月にプラザインドネシア店にて筆者撮影

海外からの進出企業もご紹介しておくと、代表的なのは韓国から進出した「Tous Les Jours(トゥレジュール)」である。トゥレジュールは、フランス語で「毎日」という意味を表し、 毎日店頭で焼く新鮮さを重視したベーカリーだ。進出は2011年。筆者が2012年に住み始めた頃は数店舗しか無かったのだが、いつの間にか50店舗を超えるまでに拡大しており、非常に驚いている。確かに店舗はいつも大人気で、インドネシアには無い種類の豊富なベーカリーであったと記憶している。個人的には日本のベーカリーに近い印象を持っていた。

シンガポールや韓国のベーカリーがインドネシアで店舗を拡大する中、日系企業で何十店舗も展開するベーカリーはまだ出て来ていない。日系企業としては、2008年に岡山県の『おかやま工房』が技術提供をする「PAN-YA(ぱん屋)」、2012年に京都府福知山市のPROVENCE(プロバンス)が進出しているが、まだまだ小規模である。もちろん拡大志向が全てでは無いが、まだまだインドネシアには日本の美味しいパンが入り込むべき、大きな市場の伸び代があると感じている。

次回以降はベーカリーチェーンを深掘りし、進出のチャンスを探って行きたい。

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