タピる?タピ活?
2019年、今年の日本はタピオカが空前絶後のブームのようである。インドネシアでは、Bubble Tea(バブルティー)やBOBA(ボバ)と呼ばれており、たまに行列を作っているのを見かけるが、日本ほどのブームではないように見受けられる。本日は、ブーム真っ最中の日本と、発祥国の台湾、そして世界全体を見ながら、タピオカ市場を調査していきたい。
サラッと紹介したが、タピオカミルクティーは台湾発祥と言われている。諸説あるが、1983年創業で2013年に日本進出を果たした「春水堂(チュンスイタン)」がタピオカミルクティー発祥のお店と謳っており、春水堂オーナーの劉漢介が中国茶をより西洋風に現代的な飲み物にできないかと開発したのが始まりとされている。しかし、タピオカミルクティーは台湾発祥でも、タピオカの原料であるキャッサバは現在の台湾ではほとんど生産されていない。
キャッサバはアジア、アフリカ、中南米の熱帯域で広く栽培されており、世界最大の生産国はナイジェリアである。そして、2位に同じくアフリカのコンゴ民主共和国、3位にタイが続く。用途としては、食用、飼料のほか、紙パルプの凝固剤や水産練り物のつなぎ、菓子の材料など万能作物となっている。タピオカとはこのキャッサバの根茎から製造した澱粉のことを指すのだが、アフリカ地域では万能作物キャッサバは内需に当てられるため、タピオカ澱粉の世界最大の輸出国はタイとなる。現在台湾は、タピオカ澱粉の9割近くをタイから輸入している。そして、その輸入したタピオカ澱粉を台湾国内で加工し、加工澱粉や天然澱粉を製品として世界各国に輸出するわけである。
日本のタピオカ輸入量を見てみると、年々増えている。そして、現在タピオカブームは第三次を迎えていると言われている。第一次は、1992年に白いタピオカが入ったココナッツミルクの登場である。第二次では2008年に「快可立(Quickly)」など台湾ブランドの上陸により黒いタピオカが入ったミルクティーが登場した。現在真っ只中の第三次は、前述にも登場した春水堂が2013年に代官山にオープンしたことが火付け役となり、以降続々と有名店が進出を果たす。
店舗数1位は、世界17カ国に1100店舗以上展開するゴンチャである。つい先月、PE(プライベート・エクイティ)ファンドからの出資が決まり、日本マクドナルドやベネッセの社長を歴任してきた原田泳幸氏がゴンチャジャパンの社長およびゴンチャグループのグローバルシニアリーダーシップメンバーに就任している。そして、2,3,4位も積極的に世界展開を行う台湾のティーブランドが名を連ねている。
このブームにより、2018年は一気に台湾の日本に対するタピオカ輸出量が増加し、なんと今まで1位であったタイを抜き去ったのだ。さらに台湾行政院農業委員会の統計によると、2019年は1-6月の上半期で既に日本向け輸出量は4552トンに上り、前年同期(587トン)の約7.8倍となっており、今年は一気に突き抜ける見込みである。
この空前絶後のタピオカブームで、台湾のタピオカ輸出量は一気に上昇するのは言うまでも無いが、実は日本以外も伸びているのだ。
昨年2018年まで1位であったアメリカを抜き去って、日本が突出して伸びているのは確かなのだが、実は他の国々も伸びている。
日本は5年前(2014年)の輸出量と比較すると、66.6倍という異常な伸びだが、伸び率を比較すると、ベトナムが5年前と比べて22.9倍、韓国が8.2倍、マレーシアが3.9倍、その他の国々へも2倍以上輸出量を増やしているのだ。実際、この数字は前述の台湾ティーブランド達の積極的な世界展開に如実に影響している。つまり、日本のような異常なブームでは無いにしろ、確実に世界でタピオカ市場は拡大しているということである。日本のブームはいつまで続くかわからないが、ブームが終わっても、ある一定数は残るのではないかと筆者は考える。特に、タピオカミルクティーを筆頭とした台湾特有のドリンクスタンドというビジネスモデルが、現在のITテクノロジーの流れと非常に相性が良いからだ。
次回は積極的に世界展開を行う台湾ティーブランドに注目して記事を書いていく。