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王興・張涛起業列伝②

張涛起業列伝

張涛は1972年11月上海生まれである。王興と同じくアメリカ留学経験があり、米国デポー大学卒業後、ペンシルバニア大学でMBAを取得し、同国でITコンサルティング企業で勤務もしていたので、アメリカ在住歴は長く、計10年間であった。2003年に中国に戻った張涛は、レストランレビューサイトを作るというアイデアを実現させるべく、4月に「大衆点評」を開設する。

張涛(Qianzhan.comより)

アメリカでPopular Review NetworkというYelpの前身のサービスが開始したのが2004年、日本の食べログは2005年なので、世界初の投稿型レストラン情報サイトと言われている。投稿型という括りを外すと、ぐるなびが非常に古い。インターネット普及率がまだ10%以下の頃の1996年に産声を上げている。交通広告代理店エヌケービーが早くからインターネットの可能性に注目し、駅構内や隣接施設の飲食店を検索するサービスを作ったのが始まりであった。そして、ぐるなびは2005年11月に「咕嘟妈咪(Gudumami)」というサービス名で中国上海に進出している。

話を大衆点評に戻す。大衆点評は中国全土に拡大し、ビジネスモデルも広告だけでなくクーポン配信などでも収益化を行なったが、当時はインターネット市場もまだまだ小さく、資金調達無しではサバイブできない状況であった。さらに、2003年当時の中国にはVC(ベンチャー・キャピタル)もほとんど無かった。2005年になってようやくSequoia Capital China(セコイア/紅杉)やCapital Today(今日資本)、2006年にはQiming Venture Partners(啓明創投)やLightspeed China Partners(光速中国)が設立され、大衆点評はやっとの思いで2006年4月にセコイアから初の資金調達となる100万米ドルを調達することができた。その後、Qiming Venture Partners、Lightspeed China、Capital Todayに加え、Googleからも投資を受けている。

なんとか資金調達に成功した大衆点評は、飲食店のレビューだけで無く、ホテルやレジャー施設、映画のレビューなどコンテンツを増やして行く。そして2009年、新たなビジネスモデルに挑戦する。共同購入クーポンの配信である。そう、翌年2010年、王興が設立する美団と競合するサービスだ。前回も紹介したが、中国の共同購入サービス市場は一気に盛り上がり、2010年当時、日本円にして5300億円もの市場が立ち上がっていた。そこに6000を超えるコピーサービス出てくる乱戦状況である。2010年アメリカでグルーポンが創業したのが2008年11月であるので、凄いスピードだ。

Dataotuan.comのデータから筆者作成

2010年の乱戦状態から2011年の終わり頃には、王興率いる「美団網(Meituan)」、「本家Groupon(グルーポン)」の買収を断った「拉手網(Lashou)」、後に一番乗りでIPOを果たす「窩窩団(55Tuan)」の3社が抜け出しにかかっており、張涛率いる共同購入サイト「点評網(Dianping)」はその時点で6位という状況であった。この乱戦の中、共同購入サイトは6000という想像を絶する数から、2011年末には既に1800が消え去っていたのである。そして、2012年もさらに戦乱の世は続いていく。

共同購入型クーポン市場はこんな戦場に…(キングダム 549話より)

2012年、アリババから美団への投資が行われた。2013年にはバイドゥはBaidu Group-buying(百度団購網)を開始し、陳一舟率いるレンレンが所有する共同購入型クーポンサイト糯米網(Nuomi.com)を買収する。2014年には、テンセントは大衆点評に投資を行い、共同購入市場は、BAT(Baidu・Alibaba・Tencent)の代理戦争となっていった。共同購入情報サイト「団800(Tuan800)」の統計によると、2014年上半期は、美団網、大衆点評団、百度糯米網の3社で84.2%の市場を占有していたとのことである。市場規模は半期ベースで前年同期比2.3倍の294億3000万人民元(約4815億円)となっていた。しかし、市場は拡大するが、誰もが大赤字の戦いを強いられており、プレイヤーはバタバタと倒れていく。サイトの数は激減し、2014年上半期が終わる頃には200サイトを切るまでに淘汰されていた。

その頃、張涛はインタビューで「5年以内にIPOを行い、企業価値100億米ドル(約1兆円)を目指す」と答えており、静かに闘志を燃やしていた。

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