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なぜ海外進出は失敗するのか?(前編)

本日は、7年間のインドネシア生活で100社以上の日系企業の視察や相談に対応した筆者が、自身も数え切れ合い失敗をしてきた経験も踏まえて、「なぜ海外進出は失敗するのか?」について語っていきたい。

筆者は日系ネット広告会社の駐在員として5年間ジャカルタで勤務していたので、一番多かったのはIT企業の相談である。その次は、自分自身が興味を持っている飲食業。これは筆者自身がジャカルタでフードビジネス交流会を主催しているのと、5年間の駐在経験後、筆者が挑戦したのが飲食関連事業だからというのも大いに関係している。

まず、日系企業がなぜ海外進出を行うかであるが、筆者が対応した100社(正確に数えてはいないが、200社は超えていると思っている)の理由をまとめてみると、下記4つに絞られる。

なぜ海外進出するのか?

  1. 日本のマーケットの先行きが危ない
  2. 海外(発展途上国)のマーケットの成長に期待
  3. 海外の顧客やパートナーから進出依頼が来た
  4. 海外移住を希望する社員がいる

4は意外に思われるかもしれないが、結構聞く話である。例えば、日本で雇用していた優秀なベトナム人が、実家に戻りたいというので、それに合わせてベトナム支社を作った話や、どうしても海外移住したい日本人社員のために海外事業を作ったりなどである。

海外進出しようと思ったら、次にするのは調査である。もし、進出国がインドネシアであれば、「インドネシア 進出」とGoogleで検索をかけるかもしれない。アマゾンで「インドネシア」と検索して、推薦されるビジネス本を読むかもしれない。インドネシアに関係している知人に話を聞くかもしれない。ある程度、進出国の情報が集まればが決まれば、次は実際に現地に行って調査するのが一般的である。現地の日系企業やローカル企業にアポイントを取ることも良いが、街を歩いてみるだけでも現地市場の一端が見えてくる。百聞は一見にしかずである。これらの調査で得られた情報が、海外進出成功のための戦略作りに活かされてくる。

ここで登場するのが、筆者が考える第一の失敗要因「情報収集」である。

情報収集は前述の通り様々な方法があるが、現地調査を含め、必ず戦略書く担当者が行うべきである。社長が部下に行かせて、その報告から社長が戦略を書くなど以ての外である。百聞と一見は全く違う。できれば、戦略立案者、調査担当、現地責任者は同一人物であることが望ましい。

ここで自身の経験談を述べておくと、筆者が現地で行なった情報収集のやり方で一番有効であると思ったのは、現地にいる同業界のマネージャークラス以上の人から直接話を聞くことである。インドネシアでは、日本のように業界本や市場調査のブログなどがほとんど無く、ネットで検索できる情報も高が知れている。現地の大手調査会社の市場調査レポートも見たことがあるが、中身が非常に薄かった。国民性として、入学受験や留学などはっきりとした目的無しに知識を得たり、知識をシェアするという考え(あるいは余裕)がまだ無いのだと、筆者は考えている。よって、実際にその業界に身を置き、人をマネジメントできるレベルにある人に聞いた方が手っ取り早い。

そのようなマネージャークラス以上の人とどのように会うかというと言うと、Linkedinを活用するのだ。知らない人のためにLinkedinを簡単に説明すると、ビジネス専門のfacebook。言うなれば、デジタル履歴書を集めたソーシャルメディアである。転職、ジョブホッピングの多いインドネシアでは、オフィスに勤める人なら誰しもLinkedinに登録をしている。とりあえずデジタルの履歴書をネット上に置いておけば、誰かが見つけて連絡してくれると言うチャンスが生まれるのだ。当初筆者は、採用目的で使おうとしていたのだが、面談したインドネシア人があまりにも会社や商品のことをペラペラ話してくれるので、これは情報収集に使える!と思ったわけである。

インドネシアのリンクトイン登録者数は世界第10位の約1200万人
グラフは筆者作成

通称「Linkedinアタック」

  1. Linkedinの有料プレミアム会員に登録する
  2. 同業種のマネージャー以上をリストアップ
  3. 該当者に友達申請を送りまくる
  4. 友達申請を承認してくれた人にコーヒーチャットをしようとメッセージを送る
  5. スターバックスに誘って、コーヒーをおごる
  6. 面接っぽい流れで情報収集
  7. 優秀だと思ったら、一緒に働こうとスカウト。あるいはそのまま解散

ちなみにLinkedinアタックをするのは、部下に任せるのでは無く、会社のトップ自ら行うべきである。Linkedinの自分のプロフィールにCEOとか書いておけば、外国人の偉い人から連絡が来たと、喜んで会ってくれたりする。筆者は、このブログでよく業界マップを公開することがあるが、10人の業界関係者にインタビューをすれば、業界を俯瞰的に把握できて、そのようなマップは楽に書けるようになる。しかし、実はこの作戦を実行するまで2年もかかってしまったのだが、進出のタイミングでこのやり方を知っていればと凄く後悔している。だからこそ、今から進出を考える方々には是非ともお勧めしたい。

ああすれば良かったこうすれば良かったというのは筆者だけでは無く、先に進出した方々が皆経験しており、できれば本などの二次情報よりも実体験者に聞くのが一番である。日本だといきなり上場企業の社長に会うのは難しいかもしれないが、インドネシアでは日本人コミュニティは非常に狭いので、日本と比べて会社のトップや幹部の方々に会いやすい。卒業大学の集まりや県人会、日系のスポーツイベントなどでひょっこり出くわすかもしれない。また、インドネシア人に対しては、よく「語学ができないから~」という人がいるが(筆者もそうであった)、語学に自信が無ければ、事前に英語やインドネシア語で資料を準備して持ち歩けば問題ない。実際に持ち歩かなくても、iPadかiPhoneに入れておいても良い。

第一の失敗要因「情報収集」でつまずくと、海外進出の船出は大変厳しいものとなり、長期戦を余儀なくされる。周りの経験談でも、「最初は上手くいっていたが…」というケースはほとんど聞いたことが無い。やはり、出だしの情報収集でつまずいて、改善や失敗を繰り返して事業撤退に追い込まれてしまうというケースが多いように思う。やりながら学んで行くという方法もあるが、資金が豊富にあって、長期戦も辞さない覚悟であれば、全く問題ない。ただ、筆者としてはできることならある程度準備しておくことをお勧めする。

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