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インドネシアの動画広告とインフルエンサー市場【2019年度版】 - インドネシアブログ

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インドネシアの動画広告とインフルエンサー市場【2019年度版】

本日は前回触れられなかったインドネシアの動画広告とインフルエンサー市場について書いていきたい。

まず市場規模だが、2019年は3億9890億米ドル(約439億円)の予測である。電通の調査によると、2019年の日本の動画広告市場予測は2651億円なので、インドネシアと約6倍の差があることになる。

statista.comのデータから筆者作成

インドネシアも日本と同じように動画市場が盛り上がっており、PC、モバイル共に、画面は動画で溢れかえっている。動画は、広告とコンテンツに大きく2つに分けられるが、前回も述べたように広告枠はGoogleやfacebook陣営の広告サービスをが使われていることがほとんどである。広告主は、広告代理店や制作会社を使って動画制作し、コンテンツあるいは広告向けに動画を流していくのだ。

日系の広告代理店やネット広告代理店はインドネシアに数多く存在するが、日系の制作会社はそこまで多くはない。例えば2011年に進出したAOI Asia IndonesiaはCM制作会社としての強みを活かして、大手企業の動画制作案件を多く扱っており、2014年に進出したCuebic Dagital Indonesiaはベンチャー企業の強みを活かして、大小様々な動画案件を受注している。

Cuebic Dagital Indonesiaが作成した商品PR動画

広告枠について話を戻して、もちろんすべての広告枠をGoogleとfacebookが支配しているわけでは無い。例えば、日本でも有名な女性系商材に強い動画メディア「C CHANNEL」のインドネシア版、「C CHANNEL Indonesia」は日本と同じように動画制作から自社メディアを含む配信までを一気通貫で行う。今年、大手財閥CTコープグループ傘下に入ったことで話題となった女性向け美容メディア「Beautynesia」も制作から配信までを行うことができる。両社は共に、自社メディアを活かして、ある程度の規模の動画再生回数を生み出すことができるのが利点だ。

次に動画コンテンツについて述べていくが、ここではYouTube(ユーチューブ)の話を避けては通れない。インドネシアでも、EMTEKが保有する「Vidio.com」、MNCが展開する「metube」「MNC Now」など、近年インドネシア版「ネットフリックス」「アベマTV」を目指した動きが活発になってきたが、やはり動画市場においてユーチューブの力は圧倒的である。そのユーチューブを支える要因として重要なのが、YouTuber(ユーチューバー)の存在だ。下記にインドネシアのユーチューバーをチャンネル登録数順にランキング化した。

2019年9月時点のインドネシアユーチューバーランキング(筆者作成)

1位のAtta Halilintarでチャンネル登録数が1890万人。日本No.1「はじめしゃちょー」の819万人と比べてもその凄さがおわかり頂けるであろう。Atta Halilintarについて簡単に解説すると、彼の母親Lenggogeni Farukは有名人であり、11兄弟の長男のAttaは母親と弟妹たちとテレビに出演することもしばしば。ユーチューブに熱中したAttaは、イタズラ動画の走りとして支持され、開始2年間、ほぼ毎日動画を上げ続けた。また、Raffi Ahmad、Sule、Jessica Iskandar、Luna Maya、アーティスト、俳優、女優、コメディアンなど様々な有名人とコラボレーションし、インドネシア大統領のジョコウィも登場し、一躍トップユーチューバーに駆け上がったのである。

まとめると、

  1. ユニークなコンテンツ(イタズラ動画)
  2. 大家族というチーム力
  3. 毎日投稿
  4. 有名人とコラボ

が、トップユーチューバーの秘訣であろう。最近日本で100万人に到達した芸人ユーチューバー「カジサック」に共通点が多いと、個人的には感じる。頻繁に嫁と子供が登場し、投稿数も多く、たくさんの芸人とコラボをしているという意味で。

上位のチャンネル登録数もさることながら、そのスピードにも注目したい。8位のArif muhammadと10位のJess No Limitのチャンネル開設が、2017年とつい最近であることに驚愕である。筆者の前職での経験だが、2016年2月頃、9位のMiawAugと仕事をしたことがあるのだが、なんと彼は当時20数万のチャンネル登録数であったのだ。約3年半で、約30倍の成長である。当時の発注額が日本円で20万円ぐらいと記憶しているが、現在はいくらなのだろうか…。ちなみにざっくりではあるが、当時1人のチャンネル登録数あたり1円ぐらいが動画制作費の相場であった。600万人なら600万円という計算になってしまう…。

インドネシアのインフルエンサーマーケティング業界マップ(筆者作成)

ユーチューバーを含めたインフルエンサーも、当たり前だが、登録数数万人という時代はあった。そんなインフルエンサーの卵から、既にある程度知られるようになったインフルエンサーも含め、広告案件獲得のプラットフォームがいくつか存在する。インフルエンサーたちは、プラットフォームに登録された広告案件に申請し、受理されたら、広告主の商品を自身のソーシャルメディアでポストし、報酬が貰えるというのが一般的な仕組みである。各プラットフォームは、広告主に対して、見やすい管理画面やネットワークしているインフルエンサーで差別化を図っていくというわけだ。以下に参考までに、各プラットフォームがインドネシアでネットワークしているインフルエンサー数についてまとめておく。数はあくまで参考で、個人的にはいかに影響力があるインフルエンサーを抱えていて、実際にポストしてもらえるのかが重要ではないかと考える。

  • PopStar:130,000+
  • allstars:90,000+
  • SociaGo:23,000+
  • IconReel:20,000+
  • sociabazz:18,000+
  • tellscore:12,000+
  • BUZZERPANEL.ID :8,000+
  • C Channel Indonesia:5,900+
  • CastingAsia:35,000+(アジア全域で)
  • gushcloud:12,000+(アジア8カ国で)

つい2,3年ほど前まではsociabazzとあとブログをネットワークをしているサービスぐらいしかなかったと記憶しているが、ここ数年でボコボコと出てきた印象である。最大規模を誇る「PopStar」は日系スタートアップのYoyoが展開しているサービスで、ローンチから約1年という短期間で13万(インドネシアのみで)を越えるネットワークに成長している。また、「CastingAsia」を展開するAnyMind Groupも日系スタートアップで、ちょうどこの9月にCPC、CPAを計測する機能を実装し、差別化を図っている。

このように日系企業が複数活躍するインドネシアの動画広告、インフルエンサー市場。引き続き注目していきたい。

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