インドネシア スタートアップ 外食産業

インドネシア外食産業の未来2019-2020

新年一発目の記事はインドネシア外食産業の振り返りと未来予想を行なっていきたい思う。

まず、いきなり外食産業を語る前に、今やインドネシア人々の生活を変え、あらゆるビジネスの台風の目となっているGojekから話を始めていきたい。Gojekはバイクタクシー配車アプリサービスとして成長したことで有名になったが、今やスーパーアプリとして様々なサービスを提供し、特に食宅配の「GOFOOD」と電子マネーの「GOPAY」に力を入れている。GOFOODによってデリバリーフードがより簡単で身近な存在になり、飲食店の収益性は格段に上がった。立地条件が悪い店舗でも、5km圏内にオフィスやマンションエリアがあれば、どんどん注文を受け取ることができるようになったのだ。もちろん電子マネーによって取引が円滑になったことも大きく貢献している。バイクドライバーは、現金を持っていなくても、注文者からGOAPYを通して直接決済される。2019年9月時点で、GOFOODに参加するマーチャントは40万店を超えている(2018年6月時点では12万5000であった)。日本の食べログに掲載されている店舗数が約89万店ということを考えると、すごい数字である。

各種資料より2019年11月に筆者作成

参考:インドネシア宅配革命 ~Gojekの誕生~

GojekにはGrabという競合がおり、Grabもスーパーアプリとして食宅配の「GrabFood」を提供し、電子マネーは別のユニコーン企業が展開する「OVO」と提携している。一説によると、GrabFoodの参加マーチャントも30万を超えていると言われており、GojekとGrabによって2019年のデリバリーフード産業は大きく成長を果たしたと言える。中でも、特に目立ったのがドリンクスタンドやカフェである。

参考:今日からあなたもカフェオーナー~起業大国インドネシアに学ぶ「起業力」~

以前、記事にも書いたように、「Kopi Janji Jiwa」や「Kedai Kopi Kulo(コピクロ)」のように、デリバリーフードで当たったことで、フランチャイズを使って年間100店舗以上オープンさせるようなスタートアップも現れた。ドリンクであれば初期費用も低く、小スペース少人数で開始することができる。また、コーヒーは2000年代に入ってスターバックスが進出してコーヒーの認知度は一気に上がったが、スターバックスの下の価格帯がポッカリ空いており、大きな市場チャンスが発生していた。

参考:中華風林火山のコーヒースタートアップ
参考:インドネシアの2大コーヒースタートアップ

その市場にうまく入り込んだのが、ベンチャーキャピタルから資金調達したインドネシア版Luckin Coffeeの「Fore Coffee」と「Kopi Kenagan」である。彼らは独自にアプリを開発し、事前にオーダーすることでピックアップ時間を短縮し、アプリを活用したディスカウント集客やデータ収集などマーケティング面で優位に立っている。最近ではシンガポールでモバイルオーダーを展開するEatsyがインドネシア進出を果たした。これによって、Fore CofeeやKopi Kenaganのように自社でアプリを持たずとも、Eatsyを使ってモバイルオーダーが可能となるのだ。

このように飲食業界がデリバリー、ドリンクスタンド、モバイルオーダーというキーワードで出店が加速する中、当然ながら飲食店を支援するテクノロジーも盛り上がっている。例えば、POSレジアプリ「Moka」を展開するPT Moka Teknologi Indonesia。Mokaは2019年12月時点で、インドネシア100都市以上に進出し、35000の利用者を持つインドネシアPOSレジアプリ業界の圧倒的No.1である。最近では、金融企業と提携し、取得した販売データをもとに融資支援を行うという事業も開始している。

そのMokaと連携して成長しているのが、クラウド会計ソフトの「Jurnal」である。Mokaで月末に売上を集計し、連携先のJurnalで簡単に会計報告ができる。インドネシア主要銀行とも連携しており、もちろんMoka以外のPOSレジとも連携もされている。2019年の8月に筆者が担当者に聞いたところ、インドネシアで7000の利用者がおり、飲食業界に1番支持されており、その次は小売業界とのことであった。ちなみに、Jurnalは2014年に設立されたPT Jurnal Consulting Indonesiaによって運営されていたが、2018年に競合のSleekrに買収され、現在はSleekrグループ傘下となっている。そのSleekrには日本のフィンテック企業マネーフォワードが出資している。

2019年の振り返りとして、2020年占うために必要なキーワードをもう一つ紹介する。それはクラウドキッチンだ。クラウドキッチンとは1つのキッチンを複数の飲食事業者がシェアをするものであるが、複数の呼ばれ方があり、アメリカではゴーストキッチンと呼ばれていたりする。インドやインドネシアはクラウドキッチンと呼ばれることが多い。インドネシアでは2018年の秋頃からGrabとGojekが、自社のプラットフォームに登録している飲食店向けにクラウドキッチンの展開を開始していたが、2019年には現地で外食事業を行うISMAYAグループが参入して盛り上がり始めている。

Grab Kitchen Capital Plaza支店(筆者撮影)

GrabはGrab Kitchenという名称でクラウドキッチンを展開しており、写真のCapital Plaza支店は2019年12月に筆者が訪問した時には6事業者がシェアしていた。Gojekの方はと言うと、同じ月にGO FOOD担当者の案内のもとGojekが展開するクラウドキッチンに訪問したが、Grab Kitchenのような豪華さは無く、看板も無い隠れキッチンであった(笑)。Gojekは現在、インドのクラウドキッチン大手Rebel Foodsに出資しており、彼らのサポートのもと展開を進めていくようである。実は、インドのクラウドキッチン市場はインドネシアよりももっと進んでおり、Rebel Foodsの他にも世界版食べログのZomato、テンセントから出資を受けているSwiggyなど競合がひしめき合っている。

インドネシアのクラウドキッチン市場(筆者作成)

本日ご紹介してきたデリバリー、ドリンクスタンド、モバイルオーダー、クラウドキッチンなどのインドネシア外食産業のトレンドワードは、引き続き2020年も進化して行くと思われる。このワードに将来来るであろうオンライン予約を加えて、2020年の予想をしていきたい。

特にモバイルオーダーが発展すれば、インドネシア初のデジタルレストランが登場するかもしれない。メニューもオーダー係もレジも無いレストラン。メニューはデジタルサイネージか自分のスマホから見て、オーダーはモバイルアプリかタッチパネルから行い、決済は全てスマホを使って電子マネーで行われる。もちろん自分が行かなくても、GojekやGrabに宅配させることも可能。店舗側は、どんな商品がどんな人にいつどのようにどのぐらいの時間がかかって手元に届いたかデータを取ることができ、店舗オペレーションの改善やマーケティングに活かされる。

×ITの流れはもちろん他の産業にも来ている。美容、化粧品 ファッションなどIT化が遅れているカテゴリーにも広がって行く。未来の話は止まらなくなるので、外食以外はまた別の機会に記事にしたいと思う。

とにかく、2020年もワクワクするような1年にしていきたい。

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