なぜインドネシアの外食産業が今アツいのか?(2)〜インドネシア外食産業の歴史〜

前回の記事から、なぜインドネシアの外食産業が今アツいのか?について書かせて頂いているが、

  1. 現時点で市場が伸びている
  2. 将来も伸びる可能性が高い
  3. とは言えまだ空いているポジションがある

の最重要項目3について、本日はオリジナル業界マップを使って解説して行きたい。

なお、ルピア円レートは100円=12000Rpで統一している。

 

 

まず、インドネシア外食産業No.1企業であるが、米国Yum! Brands, Inc.(ヤム・ブランズ)が保有する「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」のフランチャイズに加盟したPT Fast Food Indonesia Tbk(ファーストフードインドネシア)で、2017年の売上は5兆3026億84百万ルピア(約442億円)である。

 

続いて2位は、こちらもヤム・ブランズが保有する「Pizza Hut(ピザ・ハット)」のフランチャイズに加盟しており、今年インドネシア証券取引所(IDX)に上場を果たしたPT Sarimelati Kencana Tbk(サリムラティ・クンチャナ)で、2017年は 3兆271億ルピア(約252億円)の売上高であった。サリムラティ・クンチャナは今回の資金調達によって、2018年-2019年で合計124店舗の新規出店を計画している。124店舗のうち、25%は通常「ピザ・ハット・レストラン(PHR)」、75%は宅配専門の「ピザ・ハット・デリバリー(PHD)」だという。

 

第3位は、上場していないため正確な数字は分からないが、おそらくサリムラティ・クンチャナと並ぶ形で、米国マクドナルのフランチャイズに加盟するPT Rekso Nasional Food(ルクソ・ナショナル・フード)である。ジェトロの資料によると、2015年で209百万ドルと記載されているので、サリムラティ・クンチャナの規模と近い、もしくは上回っているかもしれない。

 

このトップ3に競合で勢いのある「Domino’s Pizza(ドミノ・ピザ)」と「Burger King(バーガーキング)」を合わせて米国五老星とカテゴライズさせて頂いた。1979年にKFCがオープンしたのを皮切りに、米国ファーストフードブランドが一気に進出し、フライドチキン、ピザ、ハンバーガーが、インドネシアの外食産業をガラリと変えたのである。このファーストフード進出の盛り上がりは、1998年以前のスハルト政権下と、それ以後で2つに分かれる。

 

■第一次ファーストフード進出ブーム

  • KFC(1979)→628店舗
  • ピザ・ハット(1984)→393店舗
  • テキサス・チキン(1984)→59店舗
  • A&W(1985)→250店舗
  • CFC(1989)→258店舗
  • マクドナルド(1991)→181店舗
  • ウェンディーズ(1991)→13店舗

 

そして、アジア通貨危機、スハルト政権交替を乗り越えて、第二次進出ブームがやってくる。

 

■第二次ファーストフード進出ブーム

  • ピッツァ・エクスプレス(2006)→19店舗
  • バーガーキング(2007)→84店舗
  • ドミノ・ピザ(2008)→130店舗
  • モスバーガー(2008)→2店舗
  • ファットバーガー(2009)→2店舗
  • BonChon Chicken(2012)→11店舗
  • カールスジュニア(2013)→12店舗

 

スペースの都合上、マップ上には書けなかったが、「A&W」と「カリフォルニア・フライド・チキン(CFC)」は店舗数で「マクドナルド」を超える規模を持っているので、少し説明したい。まず米国ハンバーガーチェーンのA&Wは、日本人にとって馴染みが無いと思いきや、なんと沖縄県のみで30店舗も出店しているのだ。インドネシアでは、250店舗以上展開しており、今年5月にニューギニア島パプワ州にも進出を果たしている。

 

CFCはIDXに上場しているPT Pioneerindo Gourmet International Tbk(ピオネリンド・グルメ・インターナショナル)が運営するフライドチキンのチェーンであり、2017年のCFC事業の売上は5058億38百万ルピア(約42億円)。ピオネリンド・グルメ・インターナショナルは1983年の設立当時、米国カリフォルニア州の「Pioneer Take Out(パイオニアテイクアウト)」のフランチャイズに加盟しての船出であったが、1989年にフランチャイズ契約を終了し、CFCを自社ブランドとして再出発したのであった、ちゃっかりカリフォルニアの名を入れて(笑)。そして、今や258店舗まで拡大するに至っている。

 

ちなみにピオネリンド・グルメ・インターナショナルは「スガキヤラーメン」を展開するスガキコシステムズ株式会社と合弁会社PT Pioneerindo Sugakico Indonesia(ピオネリンド・スガキコ・インドネシア)を設立し、今年5月にインドネシア1号店をオープンさせている。ラーメンの鶏白湯仕立てのスープは現地パートナー経由で調達できるので、非常に良いパートナーシップに見える。

 

第一次ファーストフード進出ブームを見てみると、やはり早期にオープンさせた企業が、それぞれのカテゴリーでトップを走っているようだ。

 

第二次ファーストフード進出ブームに関しては、店舗数がばらけているが、比較的多店舗展開に成功している「Pizza Express(ピッツァ・エクスプレス)」、「バーガーキング」、「ドミノ・ピザ」は、3社ともPT Mitra Adiperkasa Tbk(MAP)のグループ傘下である。MAPはインドネシア最大のタイヤメーカー、Gajatungal(ガジャ・トゥンガル)の創業者Sjamsul Nursalim(ジャムスル・ヌルサリム)が保有するグループであり、MAPを通してインドネシアのブランドビジネスを支配している。管理するブランドは、飲食はもちろん、ファッション、スポーツ、子ども用品と幅広い。また、そごうや西武など百貨店ブランドも持っている。このMAPが次の大きな変化を捉えていく。

 

次の大きな変化は、2000年代前半から訪れる、コーヒー革命であり、主役の4社を束ねて珈琲四天王と命名させて頂いた。その中でもやはり火付け役は、コーヒーチェーンの世界最大手、Starbucks(スターバックス)である。展開するのは先ほど登場したMAPグループである。コーヒー革命の特徴としては、MAP含め、CT CorpやLippo Group(リッポーグループ)など大財閥が入ってきている点である。CT Corpは、大手スーパーの「トランスマート(旧カルフール)」や、銀行の「バンクメガ」、テレビ局の「トランスTV」を持っており、リッポーグループは、金融から始まり、百貨店大手の「マタハリモール」や、不動産事業で「「リッポー・モール」リッポー・チカラン」「リッポー・カラワチ」などの開発を進めている。

 

財閥について詳しく知りたい方は、拙著のCT Corpについて書いた記事華麗なる財閥シリーズなど参考にして頂きたい。

 

1社異色であるのが、インドネシア産コーヒーショップ「J.CO」だ。美容サロンで成功したJohnney Andrean(ジョニー・アンドレアン)がオーナーである。 彼は飲食分野において、J.CO以外にベーカリーの「Bread Talk(ブレッド・トーク)」にも挑戦している。ブレッド・トークはシンガポール企業のフランチャイズだ。海外からインドネシアに持って来ているわけだが、近年自社ブランドのJ.COをフィリピンなど国外に輸出しているインドネシア期待の星である。

 

インドネシアにコーヒー文化はもともとあったが、基本的に自宅や屋台で楽しむことがほとんどであったため、ただコーヒーを提供するのでは無く、コーヒーを楽しむ空間を提供したスターバックスは富裕層やビジネスマン層を中心に大いに受け入れられた。コーヒー豆の匂いがするお洒落な雰囲気で、おしゃべりやビジネスミーティングを行うという文化は、一気に広まっていった。スターバックススタイルのコーヒーショップは全て無料インターネットサービス完備である。

 

スペースの都合で入らなかった四天王以外のコーヒーショップも以下に記載しておく。

実は火付け役はスターバックスではあるものの、スターバックスができるの11年前にオープンし、現在100店舗まで到達しているローカルコーヒーショップが存在する。インドネシア国内のコーヒー豆流通の60%以上のシェアを持つPT Kapal Api Global(カパル・アピ・グローバル)が展開する「Excelso(エクセルソ)」だ。エクセルソは四天王程の爆発的な成長では無いが、前述のように100店舗まで到達し、グループ全体ではコーヒー豆の流通、インスタントコーヒーの事業が堅調のようである。

 

  • Excelso(1991)→100店舗
  • スターバックス(2002)→326店舗
  • Bengawan Solo Coffee (2003)→30店舗
  • J.CO(2005)→250店舗
  • The Coffee Bean & Tea Leaf(2006年)→108店舗
  • Anomali  Coffee(2007)→11店舗
  • KOI Café(2013)→26店舗
  • Djournal Coffee(2013)→12店舗
  • Caffe bene(2014)→5店舗
  • Caribou Coffee(2015)→7店舗
  • MAXX Coffee(2015)→84店舗
  • サンマルク(2015)→3店舗

 

筆者がジャカルタに初めて降りたった2011年、「MAXX Coffee」を除くコーヒー四天王は、ショッピングモールに行けば必ずどれかは入っていた。特に高級系のショッピングモールに関しては、必ずと言って良い程スターバックスが入っていたと記憶している。ちょうどその頃、ショッピングモールで行列を作る飲食店があった。インドネシア人(特に富裕層)は、日本人のように並んでまで食べ物を食べようとは思わないので、非常に珍しい。その飲食店とは「吉野家」と「ペッパーランチ」である。2010年代から顕著になってきた和食ブームであった。

 

つづく…

 

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★現在クラウドファンディングに挑戦中★

インドネシアで食革命「料理学校設立プロジェクト」

 

なぜインドネシアの外食産業が今アツいのか?(1)〜市場調査編〜

筆者は現在、
インドネシアで食革命「料理学校設立プロジェクト」

というタイトルでクラウドファンディングに挑戦しているが、その挑戦の背景として「インドネシアの外食産業が今アツい!」と冒頭から書かせて頂いている。

本日は、なぜアツいのかについて詳しくこのブログで述べていこうと思う。

 

まず、アツいの定義であるが、

  1. 現時点で市場が伸びている
  2. 将来も伸びる可能性が高い
  3. とは言えまだ空いているポジションがある

の3つが揃っていることとしたい。

 

現時点で伸びていて、将来も伸びる可能性が高い市場なんて、絶対人気市場で競合蠢くレッドオーシャンに違いがないと言われるかもしれない。そんなうまい話は無いと。当てはまる市場を探してみると、1と2は中国が当てはまるかもしれない。しかし、既に日系企業もかなりの出店していて、中国国内企業もかなり強いので3は厳しそうである。

 

それではウォーミングアップがてらに、現在日系上場外食企業の中で海外事業が好調な2社、「トリドール」と「吉野家」の出店実績を見てみよう。

 

トリドール公式ホームページより

 

まずはトリドールが展開する「丸亀製麺」の出店実績から。2017年3月末締めの1年間で、やはり中国がダントツ1位の25の出店が確認できる。しかし、16店閉店しているので、結構難しいようにも見える。少し離れて2位のタイには10店舗出店。同じく閉店も多く、7店舗閉めており、10マイナス7で3店舗の純増である。

 

次に、やっとインドネシアが出てくる。5店舗出店して閉店は0。つまりそのまま5店舗純増。累積出店数も38店舗で、中国に次いで多い。

 

吉野家ホールディングス公式ホームページより

 

次に、今年国内外で2000店舗出店を果たした吉野家ホールディングスの出店実績を見てみよう。実は2000店舗到達時点で、海外店舗は837店と半数近くまで達しているのである。

 

この表を見てみると、吉野家(牛丼店舗のみ)は2018年1月から6月までの半年間、海外787店舗から817店舗まで30店舗増加させており、そのうち11店舗はインドネシアであるというのだ。他の東南アジアの国を見ていると、タイが1店舗増えているだけである。

トリドールも吉野家も、海外事業へのインドネシアの貢献度は結構高そうに見える。

 

インドネシア市場に対する期待が少し高まったところで、

  1. 現時点で市場が伸びている
  2. 将来も伸びる可能性が高い
  3. とは言えまだ空いているポジションがある

の3項目をもっと詳しく見ていきたいと思う。

 

ただ、1-2に関しては、世の中でたくさん議論されて来ており、GDPや人口ぐらいは検索するとすぐ出てくるので、今回は既に世に出回っている資料の重要部分だけをピックアップして解説する形を取らせて頂き、最も重要かつ情報もあまり出回っていない3に注力していきたい。市場全体が伸びているのはわかっているけど、そこから先が…という読者が多いと思うのだ。

 

解説する資料であるが、ちょうど昨年2017年9月、日本貿易振興機構(ジェトロ)が凄く詳細で分かりやすい資料を発表している。

拡大するASEAN市場へのサービス業進出 ~地域横断的な視点からサービス業進出・拡大の方策を探る~ 

 

時間のある方は、1ページ目からインドネシアの外食産業を説明している43ページまで一通り読んで頂きたい。

 

  1. 2億5000万人以上の人口規模と富士山型の人口構造
  2. 首都圏3000万人を超える都市人口
  3. ジャカルタ首都特別州約1000万人の1人あたりのGDPは約14000ドル

 

前半ページで特に注目すべきは、上記3点で、特に都市別で非常に詳しい情報が記載されている。

 

首都圏3000万人というユーロモニターの調査に驚いた方も多いと思うが、facebook広告のエリアセグメント配信で、ジャカルタ中心地から半径40kmのエリアを設定すると、2800万人に広告配信できるので、首都圏3000万人超えは信用できると思われる。3000万人は、マレーシア一国と同じ規模で、もはやジャカルタという都市は国レベルの規模と考えて良い。それでいて人口構造は富士山型なので、将来的にもまだまだ期待できる。

この巨大な人口規模と購買力は外食産業にどのような影響を与えるのだろうか。

 

外食産業の市場規模(総売上)、成長見通し

 

基本的には東南アジア各国どこも伸びていて、やはり人口規模で圧倒的なインドネシアが33,584百万ドル(約2兆8000億円)で東南アジア1位の規模を誇り、2020年には41,843百万ドル(約3兆4900億円)まで伸びることが期待されている。個人的には、日本の5分の1程度のサイズ(5兆円)には既に到達していると感じているが、これはおそらく屋台レベルのお店を加算していないためだと考えられる。インドネシアの屋台市場は非常に大きいことは、居住者であれば想像に難くない。以前ユーロモニターが、インドネシアには約20万のレストラン(屋台を除く)があると発表していたが、個人的には屋台はその10倍の200万店舗あたりになると予想している。ちなみに日本の食べログ登録店舗数が87万店舗である。

 

伸び率に関しても、インドネシアF&B協会のAdhi Lukman会長によると、2018年のF&B産業は10%の伸びを予想していることから、もう少しあるのではないかと思われる。また、特にジャカルタ首都圏に偏った情報ではあるが、飲食店レビューサイトを展開する「Qraved」は、2009年から2014年で高級レストランの数が2.5倍になったと発表し、競合サイトの「Zomato」も今年は毎月200店舗のレストランの登録純増数があると営業担当者が言っていた。

 

上のグラフに関しては、ある程度同じ条件下で比較しているので、東南アジア各国の比較としては凄く参考になるが、インドネシアにおいては、実際もっと大きくて伸びているのではないかというのが、筆者の見解である。

 

ここまでが現時点で市場が伸びていて、将来も伸びる可能性が高いという話であったが、次はメインディッシュのポジショニングである。

 

メインということで、今回はオリジナルの外食産業業界マップを気合いを入れて作成した。それを一気に書いてしまおうと考えていたが、テキストでの解説が長くなってしまったことと、さらにまだ調査中の部分という理由から、本記事を(1)として、回を分けてポストさせて頂きたい。

インドネシア宅配革命②〜フードデリバリー市場編〜

ジャカルタの渋滞は世界最悪クラスと言われている。INRIX Global Traffic Scorecardの最新のデータによると、ジャカルタは世界1360都市のうち12位、アジアではバンコクに次いで2番目に渋滞が深刻だとされている。例えば、車で5km移動するだけで、1時間以上かかることもざらにあるのだ。人間の歩行スピードは一般的に4km/時と言われているので、ちょっと早足で歩いた方が速いくらいだ。筆者もGo-jek(ゴジェック)が出てくる前はスケジュール調整に非常に苦労した。しかし、今ではアプリで5分以内にバイクが飛んできて、5kmの距離も車の間をすり抜けて10-15分で到着させてくれて、非常に便利である。

 


ジャカルタの渋滞(筆者撮影)

 

前回ご説明したように、ゴジェックが運ぶのは人だけでは無い。

今回はゴジェックの中で最も利用されているサービスの1つであるGO FOODをご紹介していく。

 

GO FOODはゴジェックが初めてアプリをローンチして約3ヶ月後の2015年4月に、23カテゴリーに分類された15000のレストランを掲載してスタートした。提携では無く掲載としたのは、15000のレストランのうちのほとんどがゴーフード側が一方的に登録しただけだと思われるからだ。筆者も実際に複数の店舗から、古いメニューがずっと残っており困っているとの相談を受けたことがある。まさに力技である。

 

GO FOODが出てくるまでフードデリバリーサービスが無かったかと言えば全くそうではない。

インドネシアにはマクドナルド、バーガーキング、KFC、吉野家、ピザハットなどのファーストフード店がたくさん進出しており、もちろんデリバリーサービスを行なっている。インドネシアの外食産業関係者によるとピザハット路面店の売上の7割はデリバリーによるものだという。また、日本のほっかほっか亭とは無関係だが、地元企業が運営するHoka-Hoka-Bentoも弁当デリバリーを盛んに行なっている。

 


フードパンダのドライバー達(参照:JKTGO.com)

 

スタートアップ界でも例外では無い。

GO FOODが現れる前のフードデリバリー市場は、2011年にMichael Saputraが設立した「Klik Eat(クリックイート)」、2012年に進出した独ロケットインターネットグループ傘下の「Foodpanda(フードパンダ)」の2強であった。どちらも自社で宅配バイクを保有し、各レストランと提携を行なっていた。筆者も2013-2014年あたりはクリックイートを利用していた。理由は大戸屋の弁当が食べられたからである。忙しい時にオフィスまでしっかりとした和食を届けてくれるのは非常に有り難かった。両社ともレストランの数が非常に多かったと記憶しているが、調べてみるとピーク時は1000近くのレストランと提携を行なっていたようだ。しかし、2015年以降、力技のゴジェックは一気にフードデリバリー市場を支配していく。メインは乗客を乗せて運ぶことなので、圧倒的に生産性が高く、アイドルタイムの待機時間も必要が無い。そして何よりネットワークしているバイクの数が違うのだ。

 

結局フードパンダはGO FOODの波に押されて2016年10月にサービスを終了し、会社もクローズしてしまう。しかし一方でクリックイートの方は個人向けから法人向けに事業をシフトすることで息を吹き返している。法人向けだと発注単価を上げることができたり、営業担当がつくことでリピート率も上げやすくなるというメリットが考えられる。

 


2016年当時のBerry Kitchenの弁当(参照:Tribun News)

 

創業当初から法人を狙ったフードデリバリーも存在する。2012年にCynthia Tenggaraが設立した「Berry Kitchen」だ。彼女たちはジャカルタで働く500万人の会社員をターゲットとしている弁当デリバリーで、オンライン上で10種類以上の惣菜をカスタマイズして注文できるのが特徴だ。西ジャカルタに自社のキッチンとバイクを保有しており、毎日決まった時間に配送している。現在、有名シェフが考案した料理を取り揃えており、利用者を飽きさせないように工夫を行なっているようだ。他には創業2015年でジョグジャカルタ発の「Kulina」が最近ジャカルタで攻勢を仕掛けて来ている。KulinaはBerry Kichenと違って、キッチンやバイクを自社で保有せず、キッチンはパートナーを複数抱え、配送は外部の業者に委託している。筆者の知人でBerry KitchenとKulinaの両方から営業を受けているという会社もあったので、少しずつ競争が激しくなってきているのかもしれない。

 

話をGO FOODに戻す。

2015年4月に15000のレストランを掲載して開始したGO FOODであるが、2018年6月現在では12万5000まで拡大している。ユーロモニターが2010年に行った調査によると、インドネシアの飲食店の数(屋台は含まない)は19万8000店なので、正確に比較はできないものの相当な数であることはわかる。今では掲載店舗はマーチャントとして管理する体制ができつつあり、登録や掲載内容の変更などサポートチームが存在する。ただ、迅速に対応してくれるというのはとてもじゃないが言えない。筆者も最近登録の申請を行ったが、登録完了まで2ヶ月以上を用した。どんどん申請が増えているのかもしれないが、もう少し頑張って欲しいところである。

 

そのような登録がごった返すGO FOODであるが、ごった返すには理由がある。マーチャントの中で、一気に売上を上げて人気店にのし上がった事例や大儲けした事例が出てきており、その成功事例に続こうと飲食店が群がってきているのだ。ゴジェックは人気店をブログで紹介しているのだが、筆者が調査した店舗も含め、いくつか成功事例をご紹介する。

 

■TUBO

「TUBO」は飲食店にとって非常に重要な立地と価格の常識を打ち破った牛丼店である。まずTUBOの店舗があるPasar Santa(パサール・サンタ)は特に良い立地という訳では無く、筆者が最近訪れた際にも閑散としていた。パサールとはインドネシアの伝統的な市場という意味で、ここパサール・サンタは出店スペースの家賃を落とすことによって若者が集まり、賑わった時期もあったが今は静かである。次に価格であるが、パサールに訪れる人は所得が中間層より下の層で、1回の食事は1万ルピア~2万ルピア(100円~200円)が一般的。しかし、TUGUは55000Rp(約500円)の牛丼1本で勝負しているのだ。吉野家の牛丼ですら300円強という市場の中、これが何と1日100食以上売れているのだから驚きである。売上のほとんどはGO FOOD経由とのことだ。単純計算で500円×100食×営業日25日間=月商125万円である。しかも、人件費は月10万円程度度、家賃は年5万円程なので、材料費が高くついたとしてもとんでもない利益率である。

 

■Flipburger

インドネシアではマクドナルドやバーガーキングが既に多くの店舗を増やしているように、ハンバーガーは非常に人気である。そんな中、新しいハンバーガーとして登場したのが「Flipburger」だ。このお店はオープン当初からネット広告で集客し、店舗ではドリンク飲み放題、アイスクリーム食べ放題を用意するなどして、まず路面店で一気に火がついた。2017年初めに筆者も訪れたが、店内では長い行列ができていて、席も満席であったことを記憶している。このような長蛇の列があった場合に活躍するのがGO FOODである。当たり前だが、GO FOODであれば自らが狭い店内で長いこと並ぶ必要も無い。人気店にゴジェックドライバーが列をなすことはインドネシアでは既に日常の光景となっている。日本からPABLOが進出した時もそうだ。オープン当初は長蛇の列ができて、そこに緑のジャケットを着た人がたくさん並んだのだ。FlipburgerもPABLOもそうだったように、インドネシアで人気店を作る場合、いかに人気店に見せるかが重要である。

 

■Pizza Place

前述のハンバーガーと並んでインドネシアで人気なのが、ピザである。Pizza PlaceはNYC(ニューヨークシティ)スタイルのピザを売りにしているテイクアウト中心のピザ屋だ。店舗スペースは非常に小さく、席はカウンターのみの5席ほどしか無い。この小さなお店が月に何百万円も売るというのだ。Flipburgerもそうであったが、人気ファーストフード店が作った市場にスタートアップとして入っていく手法は非常に効果的に見える。インターネットが無かった時代は、マクドナルドやピザハットのようなのブランド力は強大であったが、今ではインターネットを使って顧客に直接アプローチしたり口コミを発生させることもできるのだ。このPizza Placeはオンライン上でのPRが非常にうまく行っており、NYCスタイルのピザというワードでいくつかニュース記事を発見することができた。また、店内とお店の入り口が非常におしゃれで、その場で写真をとってインスタグラムにポストする人がたくさんいるのだ。

 

■Toko Kopi Tuku

最後はドリンク系の成功事例である。この「Toko Kopi Tuku」、見た目は普通のコーヒーなのだが非常に売れているのだ。実際店舗に訪れると、ゴージェックのドライバーで溢れていた。そして驚いたのが、何とGO FOODで買える時間帯の制限を示した看板が立っていたのだ。ゴジェックドライバーで溢れて実際に店舗に来た人が買えないということだろうか。飲んでみると確かに味は美味しいし、価格は18000ルピア(約150円)で非常に安い。スターバックスが300円以上するので、味だけで比べると良いのかもしれない。このお店の火付け役は何とインドネシアの大統領Jokowiである。彼が来店したことは地元新聞でも記事になっている。


Toko Kopi Tukuに来店するJokowi大統領(中央)(参照:Liptan6)

 

このようにGO FOODができたおかげで、大きな資本を持たない小さな飲食店でも、人気店になって成功できる時代が到来している。大企業もうかうかしていられない。小さな飲食店が頑張ることによって、大企業もまた改善を重ね、切磋琢磨して社会が良くなっていく。それは非常に良いことだ。実際筆者自身も、このゴージェックが起こす宅配革命を目の当たりにして、フードトラック(移動車販売)の立ち上げを行なっている。今回紹介した事例を元にさらに研究を重ね、自身のフードトラックで検証を行い、それもまたシェアしていきたいと思う。

 

最後に告知をさせて頂きたい。

2018年6月現在、筆者はこの宅配革命を好機と捉え、ジャカルタでの料理学校設立を企画している。

来月7月からクラウドファンディングでの資金調達を考えており、共感、賛同頂ける方は是非支援をお願いしたい。

 

■インドネシア料理学校設立プロジェクトについて

https://startupcookingacademia.studio.design

インドネシア宅配革命①

最近インドネシアに行ったことがある人なら街中で緑のジャケットを着ているバイク運転手を見かけたことがあるだろう。彼らはタクシー配車サービスのGo jekかGrabのどちらかに属しており、アプリですぐ呼び出すことができる。前者のGo jekは今回ご紹介するインドネシア宅配革命の火付け役で、短期間で一気にインドネシアで知られるようになった地元企業である。本日は、そのGo jekの歴史を当時の市場背景を踏まえて書いて行きたい。

 

 

Go-Jekは2010年にNadiem Makarim(ナディーム・マカリム)によって設立された。ナディームは海外留学経験があり、米国ブラウン大学卒業後の2006年、大手コンサル会社のマッキンゼーに就職している。約3年間の勤務経験後、ハーバード大学にてMBAを取得。Go-jekは在学中にインドネシアで登記し、2011年から電話でバイクタクシー配車サービスを行うようになっていた。ちなみにGo jekという名前は、バイクタクシーの一般名称であるOjek(オジェック)に由来する。

大学卒業後は、Go-jekを細々と走らせつつも、ファッションECのZalora Indonesia立ち上げにマネージングダイレクターとして参画する。Zaloraの在籍期間は1年も満たない短い期間だったが、その後インドネシアのスタートアップ環境に身を置きながら、大きな変化を目の当たりにしていく。

 

筆者が初めてインドネシアの首都ジャカルタに降り立ったのは2011年11月だった。その頃はIT起業ブームで、いたるところでスタートアップのカンファレンスやピッチが行われていた。10代20代の若者が自分達でサービスを作り、目をキラキラさせてそのサービスの強みを説明する。当時海外からの出資やM&Aが相次いでおり、2010年5月にインドネシア版Four Squareの「Koprol」を米ヤフーに売却、2011年4月にインドネシア版グルーポン「Disdus」がサービス立ち上げから1年も経たずに本家グルーポンに売却など、皆が一攫千金事例を目指しているように見えた。(その頃の起業ブームやDisdusについては、2014年の記事に少し書いている)。当時グルーポン系も多かったが、EC系、メディア系、ゲーム系なども多く立ち上がっていた。しかし、ナディームは単なる海外サービスのコピーでは無く、インドネシアに根付いたオジェックへのこだわりを持って進んでいく。

eMarketerと筆者が独自に入手したデータを元に作成

 

IT起業ブームが落ち着きを見せ始めた頃、インドネシアのスタートアップ界ではスマートフォンの爆発的な普及が注目されていた。特に2014年、4000万台あたりを超えた頃であろうか。少し景色が変わって来た。自分の周りでもスマホを使う人が増えて来て、Clash of ClansやCandy Crushなどの海外ゲームアプリをプレイしたりしていた。ゲーム以外ではメッセンジャーが良く使われるアプリであったが、メッセンジャーは少々複雑で、Black Berry端末で、Black Berry Messenngerを使っている人が多く、2013年の7月段階ではまだスマホの約半数はBlack Berryであった。そこからAndroidが一気に攻勢をかけ、さらにBlack Berry自身がAndroid端末でメッセンジャーアプリをローンチしたこともあり、1年後にはAndroid端末がスマホの約半数のシェアを獲得するまでになっていた。

 

 

そんな勢いづくスマホ市場を見てか、2014年8月、タクシー配車アプリを手がける世界最大手の米Uberがインドネシアに進出を果たす。2010年に配車サービスを開始したUberは、当時ヨーロッパ、インド、アフリカに市場を拡大し、インドネシア進出の前月には中国進出にも進出しており、海外攻勢を強めているところであった。そして、当時のUberの評価額は170億ドルに達していた。ナディームはこのUberの進出をどう見ていたかわからないが、スマホの普及からUberの進出で、配車アプリの可能性を感じていたに違いない。Uberの進出から5ヶ月後の2015年1月、Go-Jekはスマホアプリをローンチしたのだ。

 

 

アプリローンチの時点で、人を乗せて運ぶサービス(後のGO-RIDE)以外に、物を運ぶサービス(後のGO-SEND)と運転手に買い物を依頼するサービス(後のGO-MART)も同時オープンさせている。Uberタクシーにはできないバイクタクシーならではのサービスである。そして、2015年内に食べ物を運ぶ「GO-FOOD」、大きい荷物を運ぶ「GO-BOX」、マッサージ師を運ぶ「GO-MASSAGE」、メイクアップアーティストを運ぶ「GO-GLAM」、清掃員を運ぶ「GO-CLEAN」、バス停まで乗客を運ぶ「GO-BUSWAY」など全てGO-〇〇で統一された全9サービスを稼働させたのだ。そして、2016年にはUberの競合となる「GO CAR」もローンチさせている。

 

では、利用数はどうだろうか。アプリローンチから1年後の2016年1月の実績は、なんと1050万回の予約がされているというのである。1日34万回のという計算だ。

 

もちろんバイクタクシー配車市場をGo-jekが1社で独占していた訳では無い。最大のライバルは冒頭にも登場したソフトバンクも出資するGrabというマレーシア発の企業で、2015年5月にGrabBikeでインドネシア進出を果たしている。他にはインドネシアタクシー最大手のBlue Birdが始めた「Blu-Jek」、ユニークなものだと女性専用の「LedyJek」、イスラム教女性専用の「OjekSyari」など少なく見積もっても10社以上の類似業者が参入しており、2015年はインドネシアバイクタクシー業界が活発に動いた1年であった。

 

そして2016年8月、Go jekは5億5000万ドルの資金調達を行い、評価額は13億ドル以上とのニュースがスタートアップ界を駆け巡る。資金調達2ヶ月前の6月、ナディームへのインタビューによると、Go jekの運転手はインドネシア国内で20万人、1ヶ月の予約件数は2000万回以上とのことで、半年で予約件数を2倍に成長させていたのだ。調達金額はともかく、世界の投資家から大きな期待を得るのも頷ける成長である。

 

その後も快進撃は続き、アプリローンチからの2年後の2017年1月、アプリダウンロード数3300万達成。大雑把に計算するとインドネシア人の2人に1人はGo jekのアプリをダウンロードしていることになる。

2017年5月には中国のインターネット巨人 Tencent(騰訊)から13億ドルを調達、評価額は30億ドルに。今年2018年には前回前々回の記事に登場したインドネシアNo.1企業アストラやジャルムなどから15億ドルを調達。

 

そして現在。2018年6月時点でのGo jekのWEBサイトには30万人の運転手と契約しているとある。実際に30万人という数字を見なくても、緑のジャケットを着たGo jekドライバーはジャカルタの街に根をはり、大統領も言うようにGo jekは市民にとってなくてはならない存在になっている。

 

 

このGo jekのサービスの中でGo jekが最も力を入れているサービスの1つが、GO FOODである。GO FOODはレストランやカフェなどの法人や屋台を運営している個人がマーチャントとしてGO FOODに登録し、アプリ利用者がドライバーを通してマーチャントの商品を注文できるサービスだ。実は、そのマーチャント登録数が現在12万5000を超えており、マーチャントの中では月100万円を超えるような売上を叩きだす小さなお店が出て来ているのだ。次回は、このGO FOODが活性化させるフードデリバリー産業に焦点を当てて、成功事例を紹介していく。

オグミシュラン2017

Happy New Year 2018🎉

あけましておめでとうございます!🍾

 

2017年は色々ありましたが、今日は食にフォーカスして振り返りということで、私が2017年に訪れたレストランの中からオススメを紹介しようと思います。名付けて「オグミシュラン2017」の発表です!

 

 

☆Ogu Michelin(オグミシュラン)

  1. Ristorante TOKUYOSHI(リストランテ・トクヨシ),🇮🇹Milano
  2. Gagan(ガガン),🇹🇭Bangkok
  3. Burnt Ends(バーント・エンズ),🇸🇬Singapore

 

 

Ristorante TOKUYOSHI(リストランテ・トクヨシ)

まず最初はミラノにあるリストランテ・トクヨシです。オーナーの徳吉さんは、2017年に世界のベストレストランで世界第2位に選ばれたOsteria Francescana(オステリア・フランチェスカーナ)でスーシェフを勤めていた方で、2014年に独立されました。

独立後は何と10ヶ月でミシュラン1ツ星獲得。日本人としてイタリアで星獲得は初の快挙でした。

提供される料理は和と伊が融合しており、リストランテ・トクヨシ流の新たな味と食感を体験できます。また、料理だけでは無く、内装や陶器も和の気品さが漂い、五感をフルに使って楽しめるレストランでした。

 

 

Gagan(ガガン)

ガガンはアジアのベストレストランで3年連続トップ、2017年は世界で第7位に選ばれたバンコクにあるインド料理レストランです。

私は昨年11月にカウンター席で食事をしましたが、カウンター席全員同じ時間に料理のプレゼンテーションが始まり、そして提供、パフォーマンスが行われ、まるでショータイムのような素晴らしい時間でした。

お店の創設者は、インドのコルカタ出身のGagan Anand(ガガン・アナンド)さん。今はなき世界一予約の取れない伝説のレストラン「El Bulli(エル・ブジ、世界のベストレストラン2006-2009 4年連続第1位)」で修業をされていた方です。

彼はレストランの寿命は10年という持論があり、バンコクのガガンを2020年までに閉店すると公言していますが、次のお店は福岡に予定しているとか…。

 

 

Burnt Ends(バーント・エンズ)

「炎の魔術師」の異名を持つ、オーストラリア出身のDavid Pynt(デビッド・ピント)さんのお店。シンガポールにあります。

デビットさんはシドニーのフュージョン料理レストラン「Tetsuya’s(テツヤズ)」で修行後、スペインに渡り、元祖「炎の魔術師」であるVictor Arguinzoniz(ヴィクトル・アルギンソニス)の「Asador Etxebarri (アサドール・エチェバリ、世界のベストレストラン2017第6位)」で熾き火(おきび)焼きを学びました。

バーント・エンズの料理はアサドール・エチェバリ同様前菜から全て熾き火で焼き上げられ、燻製の効いたウズラの半熟玉子は頬っぺたがとろけるほど美味しかったです。メインの肉料理も言うまでも無くです。

 

 

近年注目されている世界のベストレストランですが、実は上位10位に日本のレストランは入っていません。

 

しかし、今日まとめていて思ったのですが、2017年第2位オステリア・フランチェスカーナの元スーシェフは徳吉さん。第7位のオーナーシェフガガンさんが福岡で店を始めるためのパートナーは福山剛さん(店名はガガンと剛を合わせてゴーガンだとか…)。デビッドさんが学んだ第6位アサドール・エチェバリの現2番手シェフを務めるのは前田哲郎さん。なんと実は日本人がトップレストランで活躍していたのです。

リストランテ・トクヨシの食事の後、徳吉さんにご紹介頂いたレストランでも、若い日本人の方が修行をされていました。

日本人シェフが世界で頑張っています!

 

 

2018年、私も世界で輝けるように頑張ります。

今年もよろしくお願いします。

インドネシアのハイセンスなローカル外食企業

前回はインドネシアに進出する大手外食企業についてまとめました。
本日は、ローカル企業で特にハイセンスな外食企業に絞ってご紹介したいと思います。インドネシアではオシャレで雰囲気の良いレストランがたくさんあり、地元のセレブや欧米人に大人気です。

 

 

1.    ISMAYA GROUP

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まずご紹介するのが、ISMAYA GROUPです。
インドネシアで数々のハイセンスなレストラン、バー、ラウンジを生み出した先駆者的な存在です。創業は2002年で、Christian Rijanto、Brian Sutanto、Bram Hendrataの3人が共同創業者として事業を開始し、2016年現在、15ブランドの32店舗、2000人近くの従業員を有する大企業となりました。飲食店以外にもイベント企画事業を手掛け、ケイティ・ペリーなど人気ミュージシャンを海外から誘致し、インドネシア最大級のダンスミュージックDjakarta Warehouse Project(通称DWP)や、バリ島で開催されたUltra Baliなど、インドネシアで国際的な音楽イベントが開催できることを証明してきました。

 

私もISMAYA GROUPの店舗は頻繁に使わせて頂いており、特にインドネシア国外からゲストが来ると、BCAタワーの56階にあるルーフトップバー「SKYE」にはよく案内します。ジャカルタの街を見渡せる絶景スポットです。また、最近ですとSampoerna Strategic Squareタワーの1階にあるGIAによく行くのですが、毎週木曜日にワイン飲み放題メニューがあり、天井が高くて素晴らしい雰囲気のレストランで、ワインをがぶがぶ飲んじゃうことができます。

 

 

2.    PTT Family

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続いては、ジャカルタを拠点にレストランやホテルを展開するPTT Familyをご紹介します。バリ島に旅行したことのある方だと、ポテトヘッド(Potato Head Beach Club)という名前を聞いたことがあるかもしれません。昼も夜も凄く雰囲気の良いビーチクラブで、バリ島のおすすめスポットの1つです。

 

PTT Familyのスタートは2009年で、経営を担当するRonald Akiliとクリエイティブを担当するJason Gunawanが創業しました。今年になって初めてホテルThe Katamama (ザ・カタママ)をバリでオープンさせ、今後さらにホテル事業を拡大するプランを打ち立てています。

 

ザ・カタママは、インドネシアで著名な建築家 Andra Martin (アンドラ・マーティン)が設計を担当し、シンガポールのデザイン会社 Takenouchi Webb (タケノウチ・ウェブ) が内装を手掛けています。インドネシアを感じることのできる洗練された空間で、今個人的にバリ島で最も行ってみたいホテルです。今後オープン予定のThe Kataoma(ザ・カタオマ)とThe Katamama Canggu(ザ・カタママ・チャングー)も建築界の巨人レム・コールハースが関わっており、どんなホテルができるのか非常に楽しみです。

 

 

3.    The Union Group

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続いては、The Union Group(ユニオングループ)です。
ユニオングループのオーナーの一人であり、マーケティングとPRを担当するのはJennifer Karjadi (ジェニファー・カルジャディ)です。グループとしての創業は2014年ですが、ジェニファーは2006年に「CORK&SCREW」、2008年に「LOWEY」をオープンさせていきました。複数のシェフやワイン、クリエイティブの専門家、経営者などが加わり、ユニオングループは文字通り結合しながらグループとしての形を成して行きます。

 

例えば、東南アジア料理の提供する「E&O」はシェフWill Meyrickとのコラボレーションです。彼はバリ島で「Sarong」と「Mama san」を所有しています

 

「UNION」「The Dutch」「Bistecca」を立ち上げたのは、世界で最も稼ぐシェフGordon Ramsay(ゴードン・ラムゼイ)のレストランで修業を積んだAdhika Maxi(アディカ・マキシ)と、彼の妻でケーキ職人のKaren Carlotta(カレン・カルロッタ)です。夫婦でオープンさせた最初のレストラン、UNIONは超人気店です。最近ではユニオングループとは別で、日本食レストラン「Izakaya Kai」をオープンさせており、こちらもまた繁栄店になっています。

 

 

4.    Biko Group

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最後にご紹介するのはBiko Groupです。
創業者でありグループ会長を務めるMikael Mirdadは、1986年生まれで、今年30歳になったばかりの若手経営者です。大学時代に海外留学をしていたMikaelは、身近にビールが飲めるシドニーでの生活を楽しんでいましたが、ジャカルタに戻って気付いたのは、数少ない決められたレストランやバーだけでしか飲めないということでした。そこで最初に手掛けた飲食ビジネスが、2010年6月にジャカルタのKemang(クマン)オープンしたBEER GARDEN(ビアガーデン)です。ビアガーデンは瞬く間に成功し、2011年12月、2店舗をSCBDに出店します。その後、ビアガーデン以外のレストランも複数手掛け、2013年からBiko Groupとして成長を続けています。

 

彼らの手掛ける店舗で、特にユニークなのが、2015年12月にオープンした日本料理の「風神」です。バリ島で大人気の鉄板焼きレストラン「雷神」の姉妹店なのですが、ここの接客サービスが非常に面白いのです。私はバリ島の「雷神」で初体験したのですが、特徴的なのが「息ぴったりの挨拶」です。インドネシアでこんな体験初めてだ!と感動したのですが、朝礼で有名な某外食企業がすぐ頭に浮かびました(笑)。バリ島の「雷神」はKaminari Groupによって運営されているのですが、実はオーナーのRajawali Suriadiredja(ラジャワリ・スリアディレジャ)さんが元々その某外食企業で働かれていたようです。日本の接客サービスが海を渡って受け継がれているのは非常に素晴らしいことだと思います。ちなみに料理も凄く美味しかったです。「Tiger Prown Bloccoli Mayo(エビとブロッコリのマヨネーズ炒め)」と「広島焼き」がおすすめです。

 

 

いかがでしたでしょうか?
2000年代前半からポツポツとセンスの良いオシャレなレストランが現れ始め、2010年から一気に増えています。そして、そんなオシャレレストランにインスパイアされ、ジャカルタでもそれ以外の都市でもオシャレなカフェが増えてきている印象です。

 

ただ、最後に一言苦言を呈すると、個人的には味はまだまだかなと思っています。特に日本食の味です。ローカルには受け入れられているようですので、良いかもしれませんが、ハイセンス且つ食べ物も美味しいレストランの登場を期待して待っています。

インドネシアに進出する日系外食産業ヒストリー(大企業編)

私がジャカルタに来てから4年の年月が経ちましたが、長くジャカルタに住んでいる方に4年前と比べて大きく変わったものは?と聞いた場合、飲食店と答える方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

4年前とは全然違います。
例えばラーメン。私がジャカルタにやって来た2012年7月には、日本から進出しているラーメン屋は「まる玉(2010年5月)」「博多一幸舎(2011年6月)」
「山小屋(2012年1月)」とオープンしたばかりの「らーめん山頭火(2012年5月)」ぐらいでした。カッコ内はオープン年月です。今では優に20を超えるラーメン屋が日本から進出して来ている状況です。

 

また、最近では油ソバまで登場し、先週もショッピングモールのグランドインドネシア内にある油ソバ専門店の「山ト天」に行って来たのですが、平日昼間に行列ができる程の人気でした。4年前には考えられない味とバリエーションです。
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平日昼間に空席を待つお客さんたち

 

肉の食べ放題もそうです。4年前は「ハナマサ」ぐらいしかありませんでしたが、今や「牛角」の焼き肉食べ放題や、元牛角創業者が展開する「しゃぶ里」でしゃぶしゃぶ食べ放題を楽しめます。しゃぶ里は、しゃぶしゃぶ食べ放題ですが、さんまの炊き込みご飯とかもあります。

 

 

ということで、前置きが長くなりましたが、本日はインドネシアの外食産業について、このままレポートして行きたいと思います。

 

 

この数年間、たくさんの外食企業がインドネシアへの進出を果たしましたが、その中で日本の大手上場外食企業も多くいらっしゃいます。
各企業の売上高を比較しながら紹介していきましょう。

 

2015年度ランキング(フードビジネス研究所より)
1位:ゼンショー(5,257億円)
3位:コロワイド(2,341億円)
5位:吉野家(1,857億円)
7位:ロイヤル(1,303億円)
12位:トリドール(955億円)
17位:モスフードサービス(711億円)
19位:サンマルク(660億円)
25位:壱番屋(440億円)

 

このランキング順に、各企業の進出年月日とパートナーについてまとめてみました。インドネシアでレストラン事業を行う際、つい最近の2016年2月11日に資出資規制が緩和されるまで、51%までの外資出資制限があり、現地のパートナーが必要でした。ですので、各企業、パートナーがいるケースが多いです。ちなみに、現在は外資100%でも可能です。

 

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各パートナーですが、実は外食事業に特化している企業は多くありません。食品関連の企業もありますし、食と全然関係無い企業もあります。

 

 

■ゼンショー
日本の外食市場においてトップに君臨するゼンショー。ブロードキャスティングシステムやセキュリティシステムなどの販売を展開するSenjaya Group(センジャヤグループ)をパートナーに選び、北ジャカルタのベイウォークモールに「すき家」1号店をオープンさせました。2016年8月現在、ジャカルタとその周辺エリアで5店舗まで拡大させています。

 

■コロワイド
コロワイドグループの子会社、PT REINSMARINDO INDONESIAは、2015年6月20日にインドネシア1号店となる「しゃぶしゃぶ温野菜」をイオンモールBSD City内にオープンさせ、インドネシア進出を果たしました。同タイミングで、「牛角」3号店もイオン内にオープンさせましたが、既に出店している2店舗に関しては、2006年にスタートしたフランチャイズ店舗です。パートナーはキッチン衣類や食器具などの家庭用品を展開するMaspion Group(マスピオングループ)です。

 

■吉野家
吉野家は1994年にフランチャイズ形式でインドネシアに進出し、6店舗まで拡大したものの、アジア通貨危機の影響を受けて98年に撤退していました。再進出は、インドネシアFMCG業界大手のWings Group(ウイングスグループ)とタイの財閥最大手CPグループのインドネシア支社との合弁企業とフランチャイズ契約を締結し、2010年6月に1号店をオープンさせています。そして、2016年8月時点で55店舗まで拡大させるに至っています。

 

■ロイヤル
傘下のテンコーポレーションが展開する天丼・天ぷら専門店「てんや」は、インドネシアで「The Duck King」など人気の中華レストランを展開するAsia Culinary Inc PTE Ltd.(アジアカリナリーインク)とフランチャイズ契約を締結し、2014年7月、南ジャカルタ市内で初出店を果たしました。

 

■トリドール
地場の製粉大手PT Sriboga Ratu Rayaを保有するSriboga Group(スリボガグループ)とパートナーシップを組み、フランチャイズ契約を締結したPT SRIBOGA MARUGAME INDONESIAが2013年2月に「丸亀うどん」1号店をオープン。さらに、焼鳥業態の「とりどーる」も2015年5月にオープンさせています。パートナーのスリボガグループは、PT Sriboga Ratu Rayaを通して、2014年に「ピザハット」のフランチャイズを行うPT Sarimelati Kencanaを買収しています。

 

■モスフードサービス
2008年11月、現地で卸・小売業を展開するマスヤグループのPT Glory Sukses Selaras が70%、オリックス株式会社のシンガポールの現地法人が20%、モスフードサービスが 10%を出資して「PT. MOG INDONESIA(モグ インドネシア)」を設立され、翌月12月に、ジャカルタのショッピングモール「プラザ・スナヤン」にて1号店がオープンしました。マスヤグループは食品卸業で1989年に市原和雄氏によって設立され、1995年、日本食スーパーマーケット「papaya(パパイヤ)」をオープン。その後アジア通貨危機を乗り越え、現在食品総合卸業としてインドネシア全土に3万店以上の取引先を持つまでに成長しています。

 

■サンマルク
PT Marinata Boga Jayaとフランチャイズ契約を締結し、2015年12月、ジャカルタの高級ショッピングモール「Senayan City(スナヤンシティ)」に1号店をオープン。

 

■壱番屋
2013年12月、Warga Jaya Group(ワルガジャヤグループ)がインドネシアでのカレーハウスCo Co壱番屋の展開を目的に設立したPT Abadi Tunggal Lestariとフランチャイズ契約を締結し、グランドインドネシア)に1号店をオープン。

 

 

最後のサンマルクと壱番屋のパートナー情報が薄いのですが、理由は公開されている情報がほとんど無かったからです。日本であれば、上場企業や大企業であればすぐに情報を取得できますが、インドネシアでは全般的に情報公開が進んでいません。もちろんインドネシアでも上場企業であれば、公開の義務があり、財務諸表などを確認できますが、それは巨大なコングロマリット、所謂財閥グループの一部であるケースが多いので、その全体像をつかむことは非常に困難です。

 

だからこそ調べがいがありますので(笑)、引き続き調査、研究を続けて参ります。
本日以上です!